税金

個人事業主が法人化を検討する際の留意点を解説!節税だけにとらわれてはいけない

houjinka
小西 椋磨

法人化とは?

法人化とは、個人事業主が会社を設立し、事業を法人として行うことを指します。これにより、事業の規模拡大や社会的信用の向上が期待できますが、法人化には多くの留意点があります。

法人化のメリット

法人化には多くのメリットがありますが、特に以下の点が挙げられます。

1. 節税効果 法人化することで、所得税から法人税へと課税対象が変わり、税制上有利になるケースが多く見られます。例えば、役員報酬を経費として計上できるため、所得額を減らし、法人税の負担を軽減できます。

2. 社会的信用の向上 法人化することで、企業としての信頼性が高まり、取引先や金融機関からの信用を得やすくなります。法人でなければ契約できない取引先も存在するため、事業拡大の機会が広がります。

3. 資金調達の容易さ 銀行融資を受けやすくなるなど、資金調達の選択肢が増加します。株式会社であれば、株式発行による資金調達も可能になります。

4. 責任の限定 個人事業主は無限責任を負いますが、法人化することで有限責任となり、事業で発生した債務に対する個人の責任が限定されます。

5. 人材確保の優位性 社会保険に加入できるため、従業員の福利厚生が充実し、優秀な人材を確保しやすくなります。

法人化のデメリット

一方で、法人化にはデメリットも存在します。

1. 設立費用 会社設立には、定款認証手数料や登録免許税など、約20万円〜25万円の費用がかかります。合同会社であれば、株式会社よりも費用を抑えられます。

2. ランニングコストの増加 社会保険料の会社負担や、法人住民税の均等割の支払いなど、個人事業主よりもランニングコストが増加します。赤字の場合でも、法人住民税の均等割は支払わなければなりません。

3. 事務手続きの増加 法人化すると、事務手続きが大幅に増加します。以下に具体的な事務手続きを解説します。

法人化による事務手続きの増加

1. 決算処理 法人は毎年決算を行い、決算書を作成する必要があります。決算書には貸借対照表や損益計算書などが含まれ、これらを正確に作成するためには専門的な知識が必要です。

2. 税務申告 法人税、消費税、法人住民税など、複数の税務申告が必要になります。これらの申告は個人事業主の申告よりも複雑で、税理士のサポートが必要になることが多いです。

3. 社会保険手続き 法人化すると、社会保険への加入が義務付けられます。これには健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険などが含まれ、それぞれの手続きが必要です。

4. 登記手続き 法人設立後も、役員変更や本店移転などの際には登記手続きが必要です。これらの手続きには法務局への申請が伴います。

5. 株主総会や取締役会の開催 法人化すると、重要な決定を行う際には株主総会や取締役会を開催し、その議事録を作成する必要があります。これには以下のような手続きが含まれます。

  • 株主総会:会社の重要事項を決定するために開催されます。例えば、役員の選任や定款の変更などが議題となります。株主総会の議事録は、会社法に基づき作成し、10年間本店に備え置く必要があります。
  • 取締役会:取締役会設置会社の場合、取締役会を定期的に開催し、会社の運営に関する重要な決定を行います。取締役会の議事録も作成し、適切に保管する必要があります。

個人事業主を継続する選択肢

法人化には多くのメリットがありますが、事務手続きの増加やランニングコストの増加を考慮すると、個人事業主を継続することも一つの選択肢です。個人事業主としての納税額が多少増えたとしても、事務手続きの簡便さや経営の自由度を維持できる点は大きなメリットです。

まとめ

法人化を検討する際には、節税効果だけでなく、事務手続きの増加やランニングコストの増加など、多くの要素を考慮する必要があります。法人化を成功させるためには、事前に十分な準備と計画が必要です。税理士などの専門家に相談しながら、最適なタイミングで法人化を進めましょう。また、事務手続きの増加を避けたい場合は、個人事業主を継続することも一つの有効な選択肢です。節税額だけでなく、法人化のメリットとデメリットを総合的に考慮することが重要です。

ABOUT ME
小西 椋磨
小西 椋磨
税理士・公認会計士
税理士法人淀川パートナーズの代表をしています。 税理士・公認会計士の資格を持っています。 趣味はサッカー、サウナ、カフェ巡り、読書です。
記事URLをコピーしました