法人化した社長が支払う税金について解説!
法人化とは?
法人化とは、個人事業主が法人(株式会社や合同会社など)を設立し、事業を法人として運営することを指します。法人化することで、税務上のメリットや責任の分散などが期待できますが、同時に法人として支払うべき税金も発生します。
法人税
法人税とは?
法人税とは、法人の所得に対して課される税金です。法人の所得とは、売上から経費を差し引いた利益のことを指します。法人税の税率は、法人の規模や所得金額によって異なります。
法人税の税率
- 資本金1億円以下の法人:
- 年800万円以下の部分: 15%
- 年800万円超の部分: 23.2%
- 資本金1億円超の法人: 23.2%
法人税の課税標準
課税標準とは、何に対して税金がかかるかという課税の対象となるもののことです。
法人税の課税標準は、企業の利益(課税所得)です。課税所得は、益金(収益)から損金(費用)を差し引いた金額です。
法人税の申告と納付
法人税の申告は、事業年度終了後2ヶ月以内に行う必要があります。申告書類は「法人税確定申告書」と呼ばれ、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。提出方法は、電子申告(e-Tax)や郵送、税務署への持参などがあります。
地方法人税
地方法人税とは?
地方法人税とは、平成26年3月31日に公布された「地方法人税法」によって創設された法人に対する税金です。法人税とともに国が徴収する国税で、その税収は地方交付税の財源に充てられます。
地方法人税の税率
- 10.3%
地方法人税の課税標準
地方法人税の課税標準は、法人税額です。つまり、法人税額に対して10.3%の税率をかけて計算されます。
地方法人税の申告と納付
地方法人税の申告は、法人税の申告と同時に行います。申告書類は「地方法人税確定申告書」と呼ばれ、法人税確定申告書と一体の様式になっています。提出方法は、法人税と同様に電子申告(e-Tax)や郵送、税務署への持参などがあります。
法人住民税
法人住民税とは?
法人住民税とは、法人が所在する都道府県や市町村に対して支払う税金です。法人住民税は、地域社会の一員としての負担を求めるもので、均等割と法人税割の2つの部分から構成されています。
法人住民税の税率(一例)
法人住民税の均等割部分は、都道府県や市町村によって異なる場合があります。ここでは大体の目安を解説します。
- 均等割:
- 資本金1千万円以下: 都道府県民税2万円、市町村民税5万円
- 資本金1千万円超1億円以下: 都道府県民税5万円、市町村民税13万円
- 資本金1億円超10億円以下: 都道府県民税13万円、市町村民税16万円
- 資本金10億円超50億円以下: 都道府県民税54万円、市町村民税41万円
- 資本金50億円超: 都道府県民税80万円、市町村民税41万円
- 法人税割:
- 都道府県民税: 法人税額の1.0%
- 市町村民税: 法人税額の6.0%
法人住民税の課税標準
法人住民税の課税標準は、法人税額です。均等割は法人の資本金や従業員数に基づいて計算され、法人税割は法人税額に基づいて計算されます。
法人住民税の申告と納付
法人住民税の申告は、事業年度終了後2ヶ月以内に行う必要があります。申告書類は「法人住民税確定申告書」と呼ばれ、都道府県や市町村のウェブサイトからダウンロードできます。提出方法は、郵送や役所への持参、またはeLTAXを利用した電子申告が可能です。
法人事業税
法人事業税とは?
法人事業税とは、法人が行う事業に対して課される税金です。法人事業税は、法人の事業活動に対する負担を求めるもので、都道府県が課税します。
法人事業税の税率(一例)
法人事業税も都道府県によって税率が異なる場合があります。
- 資本金1億円以下の法人:
- 年400万円以下の所得: 3.5%
- 年400万円超800万円以下の所得: 5.3%
- 年800万円を超える所得: 7.0%
- 資本金1億円超の法人:
- 所得割: 上記と同じ税率
- 付加価値割: 0.48%
- 資本割: 0.2%
法人事業税の課税標準
法人事業税の課税標準は、法人の所得です。資本金1億円超の法人については、所得に加えて付加価値額や資本金等の額が課税標準となります。
法人事業税の申告と納付
法人事業税の申告は、事業年度終了後2ヶ月以内に行う必要があります。申告書類は「法人事業税確定申告書」と呼ばれ、都道府県のウェブサイトからダウンロードできます。提出方法は、郵送や役所への持参、またはeLTAXを利用した電子申告が可能です。
消費税
消費税とは?
消費税とは、商品やサービスの取引に対して課される税金です。法人が商品やサービスを提供する際には、消費税を含めた価格で販売し、その消費税を国に納める義務があります。
消費税の税率
- 標準税率: 10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)
- 軽減税率: 8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)
消費税の申告と納付
消費税の申告は、事業年度終了後2ヶ月以内に行う必要があります。申告書類は「消費税確定申告書」と呼ばれ、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。提出方法は、電子申告(e-Tax)や郵送、税務署への持参などがあります。
償却資産税
償却資産税とは?
償却資産税とは、法人が所有する固定資産(建物や機械設備など)に対して課される税金です。償却資産税は、固定資産の価値を減価償却することで計算されます。
償却資産税の税率
- 一律1.4%
償却資産税の課税標準
償却資産税の課税標準は、事業用の償却資産の評価額です。評価額は、取得価額から減価償却費を差し引いた金額です。
償却資産税の申告と納付
償却資産税の申告は、毎年1月31日までに行う必要があります。申告書類は「償却資産申告書」と呼ばれ、市区町村の役所から入手できます。提出方法は、郵送や役所への持参、またはeLTAXを利用した電子申告が可能です。
役員報酬にかかる税金と社会保険料
役員報酬とは?
役員報酬とは、法人の役員(社長や取締役など)が受け取る給与のことを指します。役員報酬は、法人の経費として計上される一方で、役員個人の所得として課税対象となります。
所得税
役員報酬に対しては、個人の所得として所得税が課されます。
住民税
役員報酬に対しては、個人の所得として住民税が課されます。
社会保険料
役員報酬には、税金だけでなく社会保険料もかかります。社会保険料には、健康保険料や厚生年金保険料が含まれ、役員報酬の金額に応じて計算されます。これらの保険料は、法人と役員がそれぞれ半分ずつ負担します。
まとめ
法人化することで、法人税や消費税、償却資産税、地方法人税などの税金を支払う必要があります。また、役員報酬に対しては所得税や住民税、社会保険料が課されます。それぞれの税金や保険料について、申告と納付の期限や方法を理解し、適切に対応することが重要です。税務に関する疑問や不安がある場合は、税理士に相談することをお勧めします。