税金

パートの掛け持ちで確定申告は必要か?

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小西 椋磨

はじめに

パートタイムで働く方々の中には、複数のパートを掛け持ちしている方も多いでしょう。年末が近づくと、確定申告の手続きについて気になる方もいるかもしれません。この記事では、パートを掛け持ちしているとき、どのような場合に確定申告が必要かについて詳しく解説します。

確定申告が必要な理由

確定申告が必要な理由は、以下以下の通りです。

勤務先が1つだけの場合、その勤務先で年末調整が実施されるため、基本的には確定申告は不要です。年末調整は、プチ確定申告のようなものであるため、勤務先が1つだけの場合は基本的には確定申告は不要です。

しかし、勤務先が2つある場合、どちらか一方の勤務先でしか年末調整が実施されません。もう一方の勤務先では年末調整が行われないため、確定申告が必要になることがあります。具体的なケースについては後述します。

主たる勤務先と副業先の考え方

複数の勤務先から給与を受け取っている場合、税務上の手続きを簡素化し、正確な税額を計算するために「主たる勤務先」と「副業先」という考え方の理解が重要です。

  1. 主たる勤務先:
    • 主たる勤務先とは、最も多くの給与を受け取っている勤務先や、年末調整を希望する勤務先のことを指します。主たる勤務先では、年末調整が行われ、年間の所得税が正確に計算されます。
    • 主たる勤務先を決定する際には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出する必要があります。この申告書を提出することで、その勤務先が主たる勤務先として認識されます。
  2. 副業先:
    • 副業先とは、主たる勤務先以外の勤務先のことを指します。副業先では年末調整が行われないため、確定申告が必要になる場合があります。特に、副業先からの年間給与が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。

このように、主たる勤務先と副業先を区別することで、税務手続きが簡素化され、正確な税額を計算することができます。

確定申告が必要な場合

パートを掛け持ちしている場合、主たる勤務先と副業先の合計収入が一定額を超えると確定申告が必要となるケースがあります。具体的には、以下の条件に該当する場合です。

  1. 合計年収が103万円を超える場合
    パートの合計年収が103万円を超える場合、確定申告が必要です。これは、103万円を超えると所得税の基礎控除額を超えるため、所得税が発生するからです。基礎控除額は、所得税がかからない最低限の収入額を示しており、これを超えると税金が発生します。
  2. 副業先の収入が20万円を超える場合
    主たる勤務先以外の副業先からの収入が20万円を超える場合、確定申告が必要です。これは、副業先からの収入が20万円を超えると、主たる勤務先での年末調整だけでは正確な税額を計算できないためです。副業先の収入も含めて正確な税額を計算するために、確定申告が必要となります。

基礎控除について

基礎控除とは、所得税や住民税の計算をする際に、一律で差し引かれる控除のことを指します。基礎控除の金額は以下の通りです。

基礎控除は、納税者本人の合計所得金額に応じて適用されます。具体的には、合計所得金額が2,400万円以下の場合は48万円の控除が適用されますが、2,500万円を超えると基礎控除は適用されません1

基礎控除によって所得が減少するため、その分所得にかかる税金が少なくなります。例えば、合計所得金額が103万円の場合、基礎控除を差し引くことで課税所得が55万円となり、所得税が軽減されます。

確定申告の手続き

確定申告の手続きは以下の通りです。

  1. 必要書類の準備: 各勤務先から発行される源泉徴収票を集めます。
  2. 申告書の作成: 国税庁のウェブサイトや税務署で申告書を入手し、必要事項を記入します。
  3. 申告書の提出: 申告書を税務署に提出します。オンラインでの提出も可能です。

まとめ

パートを掛け持ちしている場合、年末調整は主たる勤務先で行われます。副業先からの給与については年末調整が行われないため、必要に応じて確定申告を行うことが重要です。合計年収が103万円を超える場合や、副業先の収入が20万円を超える場合は、確定申告が必要となります。確定申告を行うことで、正確な税額を計算し、過不足なく税金を納めることができるため、手続きをしっかりと確認しておきましょう。

1: 国税庁 基礎控除

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小西 椋磨
小西 椋磨
税理士・公認会計士
税理士法人淀川パートナーズの代表をしています。 税理士・公認会計士の資格を持っています。 趣味はサッカー、サウナ、カフェ巡り、読書です。
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