一人社長の年末調整は自分でできる?手順と注意点を税理士が解説

はじめに
こんにちは、税理士法人淀川パートナーズの堀です。
「従業員は自分ひとりだけ。それでも年末調整って必要なの?」「自分の役員報酬の年末調整を自分でやるって、何をすればいいの?」——法人化したばかりの一人社長からよくいただく質問です。
結論、一人社長でも年末調整は必要です。ただし役員報酬だけなら作業はシンプルで、手順さえ押さえれば自分でもできます。
この記事では、一人社長の年末調整の手順を5ステップで整理し、令和7年改正後の注意点まで税理士が解説します。
一人社長にも年末調整は必要です
社長が自分に支払う役員報酬は「給与所得」です。会社は給与の支払者として毎月の源泉徴収を行い、年末には従業員がいなくても、自分自身の分の年末調整をする義務があります。
「会社としての自分」が「個人としての自分」の税金を精算する、と考えるとイメージしやすいと思います。年末調整の仕組みそのものを確認したい方は、まずこちらをご覧ください。

一人社長の年末調整【5つの手順】
手順1:申告書を記入する(11月頃)
従業員に配る書類を、自分で自分に「配って」記入します。主な様式は次の2つです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:扶養家族の情報を記入(翌年分)
- 基礎控除申告書・配偶者控除等申告書などの兼用様式:自分の所得見積額と基礎控除の金額、配偶者の控除、特定親族特別控除などを記入
生命保険などに入っている場合は保険料控除申告書も記入します。様式は毎年変わるため、国税庁の年末調整特集ページから最新版をダウンロードしてください(昨年の様式の使い回しはNGです)。
手順2:控除証明書を集める(10〜11月)
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書(保険会社から10月頃に郵送)
- iDeCoの掛金払込証明書(小規模企業共済等掛金控除)
- 国民年金保険料の控除証明書(配偶者分などを会社の社会保険と別に払っている場合)
手順3:年税額を計算して過不足を精算(12月)
1年分の役員報酬の総額から、正しい所得税額を計算します。役員報酬が毎月定額(定期同額給与)の一人社長なら、集計はシンプルです。国税庁の「年末調整計算シート」(Excel)を使うと自動計算できます。
毎月天引きしてきた源泉徴収税額の合計と比べて、取りすぎていれば12月の役員報酬で自分に還付、不足していれば追加徴収します。
手順4:源泉所得税を納付する(翌年1月)
精算後の源泉所得税を納付します。期限は翌年1月10日、納期の特例(半年ごとの納付)を選んでいる場合は1月20日です。納付額が0円になった場合も、「0円」の納付書(所得税徴収高計算書)の提出は必要です。
手順5:法定調書と給与支払報告書を提出する(翌年1月31日まで)
- 税務署へ:法定調書合計表(+要件に該当する場合は源泉徴収票)
- 市区町村へ:給与支払報告書(住民税の計算のもとになる書類。役員報酬が少額でも提出が必要)
ここまで終えれば、一人社長の年末調整は完了です。
令和7年改正後の注意点
令和7年から年末調整の中身が変わっています。「昨年の書類を見ながら同じように書く」やり方が一番危険です。特に次の3点に注意してください。
- 基礎控除が変動制に:一律48万円ではなく、所得に応じて58万〜95万円(役員報酬の金額によって自分の基礎控除額が変わります。中間所得帯の上乗せは令和7・8年分限定)
- 配偶者・扶養家族の判定ラインが123万円に:「103万円まで」は古い情報。家族のパート・バイト収入の見込みを新ラインで確認
- 特定親族特別控除の新設:大学生年代の子は収入150万円まで満額63万円の控除。申告書の記載欄も増えています
改正後の「年収の壁」の全体像はこちらで確認できます。

こんな一人社長は年末調整だけでは終わりません
- 住宅ローン控除の1年目:年末調整では処理できず、確定申告が必要(2年目以降は年末調整でOK)
- 医療費控除・ふるさと納税(6自治体以上)を受けたい場合:確定申告が必要
- 会社の給与以外の収入がある場合(不動産収入・副業・配当など):確定申告が必要
- 年収2,000万円超:そもそも年末調整の対象外
また、年末調整は1年に1回しかやらない作業のうえ、様式や控除額が毎年のように変わります。原則として自分でもできる作業ですが、「調べ直す時間がもったいない」と丸投げされる社長が実際には多いです。記帳や決算とセットで税理士に任せると、本業に集中できます。迷ったら一度ご相談ください。
まとめ
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 一人社長でも自分の役員報酬について年末調整が必要(会社としての義務)
- 手順は5つ:申告書記入→証明書集め→計算・精算→源泉税納付(1月10日/特例1月20日)→法定調書・給与支払報告書の提出(1月31日)
- 役員報酬が毎月定額なら計算はシンプル。国税庁の計算シートも使える
- 令和7年改正で基礎控除は変動制(58〜95万円)、扶養判定は123万円、大学生の子は150万円までに
- 昨年の書類の使い回し・コピペ記入が一番危険。最新様式で家族の収入を確認する
- 住宅ローン1年目・会社以外の収入がある場合は確定申告もセットで必要
※本記事は2026年7月時点の情報です。個別の税務判断はご相談ください。
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