融資

日本政策金融公庫から融資を受ける際の手続きと流れ

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小西 椋磨

はじめに

日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主の創業や事業拡大を支援するための融資を提供しています。この記事では、公庫から融資を受ける際の手続きや流れ、面談での留意点、融資限度額や自己資金について詳しく説明します。これから創業を考えている方や、事業資金を必要としている方にとって、参考になる情報を提供します。

全体像

公庫から融資を受ける際の手続きの全体像は以下の通りです。

  1. 融資申込・創業計画書の提出: 申込書と創業計画書を提出します。
  2. 面談: 公庫の担当者と面談を行います。
  3. 現地調査: 創業予定地の確認を行います。
  4. 融資可否の連絡: 融資の可否について連絡が来ます。
  5. 金銭消費貸借契約の締結: 必要書類を提出し、契約を締結します。
  6. 入金: 指定した口座に融資金が入金されます。

それぞれについて詳しく解説します。

1. 融資申込・創業計画書の提出

まず、融資の申込みを行います。申込みは最寄りの支店窓口に直接訪問するか、インターネットで行うことができます。申込書と創業計画書を提出します。インターネットで申込む場合は、必要事項を入力して送信後、3営業日以内に連絡が来ます。

申込みには以下の項目が含まれます。

  • 申込人の基本情報(氏名、住所、連絡先など)
  • 事業内容の詳細
  • 創業計画書
  • 資金使途の詳細
  • 収支計画
  • 自己資金の状況
  • 担保や保証人の情報(必要な場合)

2. 面談

申込書と創業計画書を提出すると、公庫の担当者から面談の日程について連絡が来ます。面談は平日9:00〜17:00の間に行われ、30分から1時間30分程度です。面談時にはスーツで行くことをおすすめします。

面談では以下のような質問がされることが一般的です。

  • なぜ創業したのか?
  • 創業者がこの事業に強みがあるのか?
  • 主力となる商品やサービスは何か?
  • 競合優位性は?
  • 自己資金はどうやって貯めたのか?
  • 現状のキャッシュフローはどうなっているか?
  • 月々にどれくらいの売上を見込んでいるのか?その根拠は?
  • 資金の使いみちは?

面談での回答に際しては、以下の点に留意することが重要です。

  • 正直に答える: 質問に対して正直に答えることが大切です。虚偽の情報を提供すると、後で問題になる可能性があります。
  • 具体的に答える: 抽象的な回答ではなく、具体的な事例やデータを用いて説明することで、信頼性が高まります。
  • 自信を持って答える: 自分の事業に対する自信を持って、明確かつ簡潔に答えることが重要です。
  • 事前準備をしっかり行う: 創業計画書の内容をしっかりと把握し、質問に対する回答を事前に準備しておくことが大切です。
  • 経営者自身の言葉で答える: 代理人ではなく、経営者自身の言葉で回答することが求められます。

3. 現地調査

創業を予定している場所に店舗や物件が本当に存在しているかどうか、担当者が確認します。

4. 融資可否の連絡

面談後、担当者から電話または封書で融資の可否について連絡が来ます。

5. 金銭消費貸借契約の締結

融資が承認された場合、必要書類が郵送されます。契約書に必要事項を記入し、実印を押印します。借入金の額によって収入印紙の額も異なりますので注意が必要です。

6. 入金

必要書類がすべて公庫に到着すると、3営業日後に指定した預金口座に入金されます。ネット銀行には入金されないため、注意が必要です。

スケジュール感

融資の申込みから入金までの期間は、申込みの時期にもよりますが、1ヵ月から1ヵ月半程度かかります。

融資を受ける際の留意点

  • 創業計画書の準備: 融資申込み前に創業計画書をしっかりと準備しておくことが重要です。
  • 面談の準備: 面談時には第一印象が大切です。スーツで行くことをおすすめします。
  • 必要書類の確認: 契約書に必要な収入印紙や印鑑証明書など、必要書類を事前に確認しておきましょう。

公庫以外の選択肢

創業時の融資として、日本政策金融公庫以外にも以下の選択肢があります。

  • 制度融資: 都道府県や市町村といった地方自治体が、信用保証協会と指定金融機関と連携して提供する融資制度です。信用保証協会が信用を補強し、地方自治体が利子補給を行うことで、金融機関からの融資を受けやすくします。
  • 生活衛生同業組合の融資制度: 生活衛生関係営業(飲食店、美容店、クリーニング店など)に従事する事業者向けの融資制度です。組合員となることで、組合推薦により融資を受けることができます。

融資限度額と自己資金

日本政策金融公庫の融資限度額は、融資制度ごとに異なります。例えば、「新規開業資金」の場合、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで借りることができます。また、「一般貸付」の場合、最大4,800万円まで借りることができます。

自己資金については、融資希望額の10分の1程度が必要とされています。例えば、500万円の融資を希望する場合、自己資金として50万円が必要です。ただし、自己資金が多いほど審査に有利となるため、希望融資額の3〜4割程度の自己資金を準備することが推奨されます。

まとめ

日本政策金融公庫からの融資を受ける際の手続きや流れについて、申込みから入金までの詳細を説明しました。申込みには基本情報や事業内容、創業計画書などが必要で、面談では事業計画や自己資金について詳しく聞かれます。面談での回答に際しては、正直かつ具体的に、自信を持って答えることが重要です。公庫以外にも制度融資や生活衛生同業組合の融資制度などの選択肢があります。融資限度額や自己資金の要件についても理解し、これらの手続きをしっかりと把握し、スムーズに融資を受けるための参考にしてください。

ABOUT ME
小西 椋磨
小西 椋磨
税理士・公認会計士
税理士法人淀川パートナーズの代表をしています。 税理士・公認会計士の資格を持っています。 趣味はサッカー、サウナ、カフェ巡り、読書です。
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