【Amazonせどり】確定申告の売上と手数料の仕訳|入金額で計上しない理由を税理士が解説
この記事を書いた人小西 椋磨(税理士 / 公認会計士)

Amazonせどりの確定申告で、売上を口座への入金額で記帳してよいのか迷っていませんか。結論から言うと、売上はお客様が支払った商品代金・配送料の総額で計上し、Amazonの手数料は別に経費として計上します。
この記事では、セラーセントラルのどのレポートから数字を取るか、手数料の勘定科目と仕訳、年末の未入金やFBA倉庫の在庫の扱いまで、仕訳例を交えてまとめました。
Amazon・eBay・メルカリなど物販事業者の記帳と申告を担当している税理士・公認会計士が解説します。
読み終えるころには、Amazonのレポートを見ながら売上と手数料を自分で仕訳し、消費税の判定に使う売上の総額を確かめられるようになります。
Amazonせどりの売上の金額
Amazonから振り込まれるお金は、販売手数料やFBA手数料(Amazonが保管・配送を代行するサービスの料金)が差し引かれた後の金額です。この入金額をそのまま売上にしても、手数料を経費に入れなければ利益は同じになります。それでも入金額で売上を立てるのはおすすめしません。
理由は消費税です。消費税の免税事業者(消費税を納めなくてよい事業者)かどうかは、原則として2年前の年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えるかで決まります(国税庁タックスアンサーNo.6501)。この課税売上高は、Amazonの手数料を引く前の総額で判定します。
たとえば、1年間の入金額の合計が900万円でも、手数料を引く前の売上の総額が1,200万円であれば、1,000万円を超えています。入金額だけを見ていると、課税事業者になったことに気づかず、2年後の消費税の申告が漏れてしまいます。簡易課税(売上の消費税から一定の割合で納める額を計算する方法)を使えるかどうかの5,000万円の判定も同じです。
セラーセントラルの売上データの出し方
確定申告に使う売上と手数料のデータは、セラーセントラルから次の順で出力します。
- 「レポート」→「ペイメント」を開く
- 「日付範囲レポート」で期間を指定し、取引ごとの一覧(トランザクション)と概要(サマリー)のレポートを作成する
- 作成したレポートをCSVでダウンロードする
記帳は月ごとに進めるので、レポートも1か月単位で作成すると扱いやすくなります。画面の名前は変更されることがあるので、見当たらない場合は「ペイメント」の中のレポートの一覧を確認してください。
ここで注意したいのは、月ごとのレポートの合計と、その月に銀行へ振り込まれた金額は一致しないことです。Amazonの入金は通常およそ2週間ごとで月の区切りとずれるうえ、返品などに備えてAmazonが入金の一部を次の回まで保留することがあるためです。日付範囲レポートは売上と経費を計上するための資料、銀行への入金は売掛金を消すための資料として、役割を分けて使います。
取引ごとの一覧には取引の種類を示す列があり、種類ごとに帳簿への移し方が決まります。列の名前や表記はレポートの種類や時期によって変わるので、中身で振り分けると次のようになります。
| 取引の中身 | 帳簿での扱い |
|---|---|
| 注文(商品の売上と、その注文の販売手数料・FBA手数料) | 売上を総額で計上し、手数料は経費 |
| 返金(お客様への返金と、戻ってくる手数料) | 売上から差し引く |
| 在庫保管手数料・長期在庫の追加手数料・返送や所有権放棄の手数料 | 経費 |
| 広告費用・月額登録料 | 経費 |
| FBA倉庫での紛失・破損の補てん | 収入(後述) |
| Amazonから銀行口座への入金 | 売掛金の入金 |
Amazon手数料の勘定科目と仕訳
Amazonの手数料は種類が多いので、どの勘定科目(帳簿上の分類)に入れるかを最初に決めておくと、毎月の記帳が早くなります。手数料の多くは支払手数料、広告は広告宣伝費とし、クーポンなどの割引は経費ではなく売上から差し引きます。
| 手数料 | 中身 | 勘定科目の例 |
|---|---|---|
| 販売手数料 | 商品カテゴリーごとの率でかかる手数料 | 支払手数料 |
| FBA配送代行手数料 | 注文ごとの梱包・発送の料金 | 支払手数料または荷造運賃 |
| FBA在庫保管手数料 | 倉庫での保管の料金 | 支払手数料 |
| 大口出品の月額登録料 | 月4,900円(税抜) | 支払手数料 |
| スポンサープロダクト広告 | 商品の広告の料金 | 広告宣伝費 |
| クーポンなどの割引 | 出品者が負担する値引き | 売上から差し引く(売上値引き) |
科目はどれを使っても利益は変わりませんが、毎年同じ科目を使い続けることが大切です。年ごとに変えると、前の年と比べて手数料が増えたのか減ったのかが分からなくなります。
以下の数字は説明のための例です。商品代金3,000円(税込)の商品が売れ、販売手数料300円とFBA配送代行手数料400円が差し引かれて、2,300円が振り込まれたとします。売掛金(売上を計上したが、まだ入金されていないお金)を使って、次のように記帳します。
売上を計上したとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 3,000円 | 売上高 | 3,000円 |
手数料が差し引かれたとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 300円 | 売掛金 | 300円 |
| 荷造運賃 | 400円 | 売掛金 | 400円 |
銀行に振り込まれたとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 2,300円 | 売掛金 | 2,300円 |
返金した商品代金は経費ではなく、売上から差し引きます。返金にともなって戻ってくる販売手数料や、返金のときにかかる手数料も、手数料の側で増減させます。
ここまでは1件の取引での例です。本業で毎月数百件の注文がある場合、1件ずつ入力するのは現実的ではありません。月ごとの日付範囲レポートの概要から、売上・返金・手数料の種類ごとの合計を拾い、月末の日付でまとめて1本の仕訳にする方法が一般的です。以下も説明のための数字です。
1か月分をまとめた仕訳の例
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 864,610円 | 売上高 | 1,200,000円 |
| 売上値引・戻り高 | 30,000円 | ||
| 支払手数料(販売手数料) | 120,000円 | ||
| 荷造運賃(FBA配送代行手数料) | 150,000円 | ||
| 支払手数料(在庫保管手数料) | 10,000円 | ||
| 広告宣伝費 | 20,000円 | ||
| 支払手数料(月額登録料) | 5,390円 |
まとめて記帳する場合は、月末の売掛金の残高が、セラーセントラルのペイメントの画面で確認できる、まだ振り込まれていない金額(保留中の金額を含む)と大きくずれていないかを毎月確認します。ここがずれていれば、計上漏れや二重計上があるということです。
当事務所では、Amazonのレポートを使った売上・手数料の記帳から確定申告まで、有資格者が直接担当しております。全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。
Amazonの売上の計上日と年末の未入金
商品の販売の売上は、商品を引き渡した日に計上します(所得税基本通達36-8)。Amazonでは、注文日や入金日ではなく、商品を出荷した日が基準になります。
12月中に出荷して1月に振り込まれる分は、その年の売上として計上し、年末時点では売掛金として残します。Amazonの入金は通常およそ2週間ごとなので、12月後半に出荷した分は翌年の入金になることがほとんどです。
Amazonが一時的に入金を保留している金額も、年末に残っていれば売掛金のままです。まだ振り込まれていないことを理由に、その年の売上から外すことはできません。
なお、日付範囲レポートの日付は、取引がAmazonのアカウントに記録された日時です。出荷とほぼ同じ時期ですが、12月31日の前後はずれることがあるため、年末に出荷した注文が翌年の1月1日付けで記録されていないかを確認します。
FBA倉庫の在庫と紛失・破損の補てん
Amazonの倉庫にある商品も、年末時点では自分の在庫(棚卸資産)として数えます。手元の在庫だけを数えて、FBA倉庫の分を忘れる方が少なくありません。セラーセントラルの在庫のレポートで12月31日時点の数量を確認し、手元の在庫と合わせて仕入れた金額で集計します。数え方や売れ残りの処理は、次の記事で詳しくまとめています。

FBA倉庫で商品が紛失・破損したときにAmazonから受け取る補てん金は、事業の収入(雑収入)に入れます。紛失した商品は年末の在庫に残らないので、その仕入代金はその年の売上原価(売れた商品や失った商品の仕入代金)に含まれます。
消費税では、損害の補てんとして受け取るお金は、原則として課税の対象外です。ただし、損害を受けた商品をAmazonに引き渡し、その商品がそのまま使える場合のように、実質が商品の売買と認められるときは課税売上になります(消費税法基本通達5-2-5)。補てんのたびに明細を見て、どちらに当たるかを確認します。
Amazon手数料の適格請求書と消費税
Amazonの手数料には消費税が含まれています。課税事業者が一般課税(実際の売上と経費の消費税から納める額を計算する方法)で申告する場合、手数料の消費税を差し引く(仕入税額控除)には、適格請求書(登録番号などが書かれた請求書)の保存が必要です。
手数料の書類は、セラーセントラルの「レポート」→「タックス関連文書ライブラリ」からダウンロードできます。アマゾンジャパン合同会社の登録番号はT3040001028447です。手数料の種類によって載っている書類が分かれていることがあるため、毎月どの手数料がどの書類に載っているかを確認します。手数料の書類は、年末にまとめてではなく毎月ダウンロードして保存することをおすすめします。毎月の記帳のときに、帳簿の手数料の消費税と書類の消費税を見比べておけば、申告の時期に食い違いを探す手間がなくなります。
なお、簡易課税や2割特例で申告する場合は、手数料の適格請求書がなくても納める消費税の額は変わりません。どの方法で申告するかによって、保存の手間も変わります。
仕入れの側で、メルカリなど個人から仕入れた商品の消費税の扱い(古物商の特例)は、次の記事で解説しています。

Amazonせどりでよくある記帳ミス
Amazonせどりの帳簿でよく見かける間違いと、そのままにするとどうなるかをまとめます。どれも、毎月レポートから記帳し、売掛金の残高を確かめていれば防げる間違いです。
入金額での売上の計上
売上高が実際より小さく記録され、消費税の免税事業者かどうか、簡易課税を使えるかどうかの判定を誤る原因になります。手数料を経費にも入れていると、手数料の分だけ二重に差し引かれ、利益が少なく計算されます。
入金日での売上の計上
12月に出荷して1月に入金された取引が翌年の売上になり、年ごとの所得がずれます。税務調査では、年末前後の取引の計上時期を確認されることがあります。
FBA倉庫の在庫の数え忘れ
年末の在庫が少なく計上されると、売上原価が多くなり、その年の利益が少なく計算されます。翌年はその分だけ利益が多くなり、年ごとの所得が正しく計算されません。
手数料の適格請求書の保存漏れ
一般課税で申告する場合、保存がない手数料の消費税は差し引けません。申告の直前に1年分をまとめて集めると、どの手数料の書類が足りないのかを確かめるだけで時間がかかります。
まとめ
- 売上は入金額ではなく手数料を引く前の総額で計上し、手数料は経費として分けて記帳します。
- 消費税の1,000万円の判定に使う課税売上高も、手数料を引く前の総額です。
- 12月中に出荷して1月に振り込まれる分は、その年の売上として計上し、年末は売掛金として残します。
- Amazonの倉庫にある商品も、年末の在庫として数えます。
- 一般課税で申告する場合、手数料の消費税を差し引くには適格請求書の保存が必要です。
レポートの出力、入金との照合、手数料の書類の保存は、来年以降も毎年続きます。売上が伸びてくると、消費税の課税事業者になる時期や、簡易課税・2割特例のどれを選ぶか、法人にするかどうかといった判断も出てきます。毎月の記帳を続けていれば、こうした判断を年の途中で、数字をもとに検討できます。
当事務所では、顧問として毎月の記帳から関わり、Amazonのレポートと入金の照合、在庫の集計、消費税の届出の時期の確認までお手伝いしております。副業から本業に切り替える方の手続き(開業届・青色申告・古物商許可)は、次の記事にまとめています。

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