【中国輸入×eBay輸出】輸入消費税の還付と記帳|名義・直送・仕訳例を税理士が解説
この記事を書いた人小西 椋磨(税理士 / 公認会計士)

「中国から仕入れて、eBayで海外に販売している。輸入した分の会計や消費税は、どう処理すればいいのか」。eBay輸出をされている方から、このようなご質問をいただきました。
結論から言うと、中国から日本に輸入してeBayで売る分は、輸入のときに払った消費税(輸入消費税)を還付の計算に入れられます。ただし、輸入の名義が事業主(自社)になっていることが条件です。中国から海外の購入者へ直接発送した分は、日本の消費税の対象外です。アメリカや韓国など、中国以外から仕入れる場合も考え方は同じです。
この記事では、輸入消費税を還付に入れる条件、直送した売上の扱い、仕入の金額に入れる費用、帳簿のつけ方と仕訳例を順に説明します。eBay輸出セラーの記帳と消費税還付の申告を担当している税理士・公認会計士が解説します。読み終えるころには、ご自身の輸入取引のうち、どれを還付の計算に入れ、帳簿でどう分ければよいかを判断できます。
中国輸入×eBay輸出の消費税還付の仕組み
中国から仕入れてeBayで売る場合、商品の流れは大きく2通りあり、消費税の扱いが違います。
| 商品の流れ | 輸入のとき | 売上と輸入消費税の扱い |
|---|---|---|
| 中国 → 日本に輸入 → 日本からeBayの購入者へ発送 | 税関で輸入消費税を払う | 売上は輸出免税。払った輸入消費税は還付の計算に入る |
| 中国 → 海外の購入者へ直接発送 | 日本の税関を通らない | 売上は日本の消費税の対象外(不課税)。輸出免税でもない |
輸出の売上は消費税が免除されるため、売上にかかる消費税は0円です。そこから仕入や経費で払った消費税を差し引くと、差額がマイナスになり、その分が還付されます。日本に輸入してから輸出する取引では、輸入消費税も国内で仕入れたときの消費税と同じように差し引けます。
還付を受けるには、課税事業者であり、一般課税(実際に払った消費税を差し引いて計算する方法。原則課税とも呼びます)で申告していることが前提です。簡易課税・2割特例・3割特例は、売上の消費税をもとに納める額を計算する方法なので、実際に払った輸入消費税はどれだけ多くても計算に使われず、還付は出ません。以前に出した簡易課税の届出が残っていると、気づかないうちに簡易課税で申告することになります。一般課税に戻すには、戻したい課税期間が始まる前に「簡易課税制度選択不適用届出書」を出す必要があるため、届出の状況は早めに確認しておくと安心です。
輸入消費税を還付に入れる条件
輸入申告の名義
輸入消費税を差し引けるのは、輸入申告をした人だけです。
消費税法30条1項は、保税地域から貨物を引き取った人がその消費税を差し引けると定めています。国税庁の質疑応答事例「輸入取引に係る輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱いについて」でも、輸入を代行業者に頼み、業者が消費税を立て替えて後から請求してくる場合に、差し引けるのは輸入申告をした側であり、代行業者ではないとされています。反対に、名義が代行業者になっていれば、立て替え分を払っていても差し引けません。
通常の輸入では、仕入書(インボイス)に荷受人として書かれた人が輸入申告者になります(関税法基本通達6-1(1))。中国輸入では、代行業者の混載便(複数の荷主の荷物をまとめて送る便)や、関税・消費税込みの条件(DDP)で配送を頼むことが多く、名義が業者になっている場合があります。輸入が終わってから名義を直すのは難しいため、発注の前に代行業者へ「こちらの名義で輸入申告をしてほしい」と伝えておくことをおすすめします。そのうえで、届いた輸入許可通知書の「輸入者」の欄が事業主(自社)の名前になっているかを、輸入のたびに確認します。
代行業者に名義の変更を頼むときの聞き方や、確認する書類は、次の記事で詳しく説明しています。

保存する書類と控除の時期
通常の輸入では、税関から交付される輸入許可通知書を保存します。EMSなど国際郵便で届いた課税価格20万円以下の荷物は、通常の輸入申告とは手続きが異なり、輸入許可通知書の代わりに税関から届く国際郵便物課税通知書が保存する書類になります(カスタムスアンサー6103)。税金を納めたときの領収証書もあわせて保管しておくと安心です。
輸入消費税を差し引くのは、輸入の許可を受けた日(貨物を引き取った日)が属する課税期間です。仕入代金を払った日や、通関業者に立替金を払った日ではありません。年末や決算月をまたぐ輸入は、日付を確かめてから計上します。
なお、課税価格の合計が1万円以下の貨物は、一部の品目を除き関税と消費税が免除されます(カスタムスアンサー1006)。この場合は、そもそも差し引く輸入消費税がありません。
中国から海外へ直送した売上の扱い
中国にある商品を海外の購入者へ直接発送した売上は、日本の消費税の対象外(不課税)です。
消費税では、商品を売った取引が日本国内の取引かどうかを、売ったときに商品があった場所で判定します(消費税法4条3項1号)。中国にある商品を海外の購入者に売るのは国外の取引です。国税庁タックスアンサーNo.6210も、国外で買った商品を日本に入れずに他へ売るいわゆる三国間貿易について、「経理処理のいかんに関わらず課税の対象とはならない」としています。
直送分は輸出免税ではないので、日本から発送した輸出の売上とは分けて記帳します。消費税の計算に使う課税売上割合(売上全体のうち消費税がかかる売上の割合)では、輸出の売上は計算に入りますが、国外の取引の売上は入りません(消費税法基本通達11-5-4)。直送分を輸出の売上に混ぜると、この割合が実際と変わり、還付額の計算に影響することがあります。また、日本から輸出していないため、輸出許可書などの輸出を証明する書類もありません。反対に、日本から発送した分は、輸出免税を受けるために輸出を証明する書類の保存が必要です(書類の種類は、後ほどご紹介するeBay確定申告の記事で説明しています)。
一方で、所得税・法人税では、直送分もふつうの売上です。eBayのレポートだけでは、どの注文が日本から発送したもので、どれが中国から直送したものかを見分けにくいことがあります。注文ごとに発送元を記録した管理表を作り、月ごとに「日本から発送」「中国から直送」に分けて集計しておくと、申告のときに困りません。
仕入の金額に入れる費用
送料・関税・通関料などは商品の仕入の金額に含め、輸入消費税だけは別に記録します。
商品の仕入の金額(棚卸資産の取得価額)は、商品の代金に、引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税など、購入のためにかかった費用を足した金額です(所得税法施行令103条1項1号、法人税法施行令32条1項1号)。中国輸入でかかる主な費用は、次のように扱います。
| 費用 | 仕入の金額に入れるか | 消費税の扱い |
|---|---|---|
| 商品代金(中国の仕入先) | 入れる | 国外の取引のため対象外 |
| 中国国内の送料・中国の代行業者の手数料 | 入れる | 国外の取引のため対象外 |
| 国際送料・保険料・関税 | 入れる | 輸入消費税の計算のもとになる(関税を含めた金額に消費税がかかる) |
| 通関料(通関業者の手数料) | 入れる | 輸入貨物の通関手続の手数料は輸出免税と同じ扱いで、消費税がかからない(消費税法基本通達7-2-12・7-2-13) |
| 輸入消費税(国税・地方消費税) | 入れない | 税抜経理なら仮払消費税として記録し、還付の計算に入れる |
日本国内の代行業者に払う手数料は、国内の取引として消費税がかかる場合があり、その場合は差し引くためにインボイス(適格請求書)が必要です。どちらにあたるかは、契約の内容と請求書で判断します。
人民元やドルで払った代金は、取引日のTTM(銀行が公表する為替の仲値)などで円に換算します(所得税基本通達57の3-2・法人税基本通達13の2-1-2)。工場に代金を前払いした場合は、前払いしたときの円の金額のまま仕入に振り替えてよく、商品を受け取った日のレートで換算し直す必要はありません(所得税基本通達57の3-5・法人税基本通達13の2-1-5)。為替の処理は、次の記事でまとめています。

年末に売れ残った在庫は、こうした費用を含めた仕入の金額で棚卸に計上します。
当事務所では、中国からの輸入書類の確認から、eBayの売上の集計、消費税還付の申告まで、有資格者が直接担当しております。全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。
輸入取引の仕訳例
帳簿では、輸入の本体・輸入消費税の国税分・地方消費税分を分けて記録します。
輸入消費税は、税関で国税分(7.8%)と地方消費税分(2.2%)に分けて計算されます。消費税の申告では国税分の金額をもとに差し引く税額を計算するため、帳簿でも2つを分けて記録します。会計ソフトでは、輸入の本体(商品代金・運賃・保険料・関税)と、輸入消費税の国税分・地方消費税分を、それぞれ輸入用の税区分で入力します。初期設定では輸入用の税区分が表示されない会計ソフトもあるため、使い始める前に設定を確認しておくと安心です。
仕入先への支払いが300,000円で、税関の課税価格(運賃・保険料込み)も同じ300,000円だった場合の仕訳例です(税抜経理、単位は円)。実際には、送金したときの為替レートと税関が使うレートの違いや運賃の扱いで、支払額と課税価格は一致しないことが多いので、税額は輸入許可通知書の金額を使います。
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| ① 仕入先への支払い | 仕入高 300,000(輸入の本体) | 普通預金 300,000 |
| ② 通関業者からの請求の支払い | 仕入高 9,000(関税・輸入の本体) 仮払消費税 24,100(輸入消費税の国税分) 仮払消費税 6,700(輸入消費税の地方消費税分) 仕入高 11,800(通関料・免税) | 普通預金 51,600 |
| ③ eBayの売上(日本から発送) | 売掛金 | 売上高(輸出売上) |
| ④ eBayの売上(中国から直送) | 売掛金 | 売上高(対象外) |
輸入消費税は、課税価格に関税を足した金額から計算され、端数の切り捨てもあります。自分で計算せず、輸入許可通知書に書かれた金額をそのまま使うと間違いがありません。中国から直送した売上は、補助科目などで日本から発送した売上と分けておくと、月ごとの集計が楽になります。
eBayの手数料は売上と分けて計上し、Tax Invoice(Seller Hub → Payments → Reports → Tax Invoices)に書かれた日本の消費税を課税仕入として記録します。

中国輸入×eBay輸出のよくある記帳ミス
中国から仕入れているeBayセラーの帳簿で起こりやすいミスは、次の5つです。
- 代行業者の名義で輸入した分の輸入消費税を還付の計算に入れていると、税務調査で差し引きが認められず、受けた還付を返すことになります。
- 中国から直送した売上を輸出の売上(輸出免税)として計上していると、課税売上割合と還付額の計算がずれ、輸出を証明する書類もそろいません。
- 税抜経理なのに輸入消費税を仕入高に含めたままにしていると、還付の計算から漏れたり、仕入の金額が実際より大きくなったりします。
- Payoneerの入金日や入金額で売上を立てていると、年をまたぐ取引の計上年がずれ、手数料の消費税も帳簿に出てこないため、その分の還付を取り逃します(売上は発送日に総額で計上します)。
- 簡易課税の届出が残ったまま申告したり、2割特例を選んだりしていると、輸入消費税がどれだけ多くても還付は出ません。
どれも、毎月の記帳の段階でルールを決めておけば防げるミスです。
まとめ
- 日本に輸入してから輸出する取引では、輸入消費税も還付の計算に入れられます。
- 輸入消費税を差し引けるのは輸入申告をした人だけなので、発注の前に代行業者へ名義を伝えておきます。
- 中国から海外へ直送した売上は日本の消費税の対象外で、日本から発送した売上とは分けて記帳します。
- 送料・関税・通関料は仕入の金額に含め、輸入消費税だけは別に記録します。
- 還付を受けるには、課税事業者として一般課税で申告することが前提です。
輸入許可通知書や国際郵便物課税通知書は輸入のたびに届き、直送と日本発送の区別も毎月の作業です。1年分を申告の前にまとめて整理しようとすると、書類がそろわず、差し引けるはずの輸入消費税を計算に入れられないことがあります。輸入のたびに書類と帳簿を突き合わせる仕組みを最初に作っておくと、還付の申告も、その後の税務署からの確認にも落ち着いて対応できます。
当事務所では、輸入のたびの書類の確認から毎月の記帳、消費税還付の申告まで、顧問として継続してお手伝いしております。
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