【eBay輸出】確定申告ガイド|売上税・為替・消費税還付の処理を税理士が解説
この記事を書いた人小西 椋磨(税理士 / 公認会計士)

「英語のレポートの、どの数字を売上にすればいいのかわからない」「いち早く消費税の還付を受けるには、何をすればいいですか」。eBay輸出の確定申告について、当事務所にはこうしたご相談をよくいただきます。
この記事では、eBayのレポートから売上と手数料を拾う方法、売上税(eBay Collected Tax)の扱い、為替の換算、Payoneer入金時の為替差損益、そして消費税還付の届出と保存書類まで、仕訳例を交えて順番に解説します。
eBay・Amazonなど物販事業者の記帳と申告を担当している税理士・公認会計士が、実際のご相談をもとにまとめました。副業で始めた方も、法人で運営している方も、「どの数字を、いつの日付で、いくらで計上するか」を順番に確認できるように構成しています。
最初に、全体像を表にまとめます。
| 項目 | 決めること | ポイント |
|---|---|---|
| 売上 | いつ・いくらで計上するか | 発送日に、円に換算して計上。売上税(eBay Collected Tax)の分が所得に残らないように処理 |
| 経費 | 何を証拠に計上するか | eBay手数料はTax Invoice、仕入れはレシート・購入履歴 |
| 為替 | どのレートで換算するか | 前月末のTTMなどを毎年同じ方法で使う。入金時の差額は為替差損益 |
| 在庫 | 売れ残りをどうするか | 年末に残った在庫は経費から外す(棚卸) |
| 消費税 | 還付を受けられるか | 課税事業者になる届出の期限と、原則課税での申告が条件 |
売上は「発送日」を基準に、円に換算して計上する
Seller Hubから注文レポートを出す
売上の元データは、eBayのSeller Hubから出力する注文レポート(CSV)です。
- Seller Hub → Orders → All orders を開く
- Period で日付の範囲を Custom で指定する
- 右上の「Download report」をクリックする
期間は、対象の年の前後に少し広めに取ってください。レポートは「Sale Date(落札日)」で絞り込まれますが、売上に計上する日は後述のとおり発送日だからです。12月31日に落札されて1月5日に発送した取引は、翌年の売上になります。
なお、eBayには「MUAA(マルチユーザーアカウントアクセス)」という、ほかの人に注文の閲覧やレポートのダウンロードだけを許可する機能があります。記帳を税理士などに任せる場合も、ログインのパスワードを渡さずにデータを共有できます。
計上する日は落札日でも入金日でもなく「発送日」
所得税では、商品を相手に引き渡した日に売上を計上するのが原則です。輸出の場合は、商品を発送した日がこれにあたるため、レポートの「Shipped On Date(発送日)」を使います。売上の日付は、落札日でも入金日でもなく「発送日」です。
Payoneerに入金された日を売上の日にしている方がいますが、年末年始の取引で計上する年がずれる原因になります。
eBay Collected Tax(売上税)とは
「eBay 売上税とは」と検索してこの記事にたどり着いた方も多いと思います。レポートの「eBay Collected Tax」は、セラーの間では「売上税」と呼ばれることが多いですが、中身はアメリカの州の売上税(Sales Tax)のほか、EU・イギリスなどの付加価値税(VAT)やオーストラリアのGSTも含みます。売上税は買い手が負担し、eBayが買い手から受け取って各国・各州に納めているもので、セラーの手元には入りません。コロラド州の「Road Improvement And Food Delivery Fee」のように、eBayが買い手から受け取って州に納める料金も同じ性質のものです。
| レポートの列 | 中身 |
|---|---|
| Sold For | 商品代金 |
| Shipping And Handling | 買い手が払った送料 |
| eBay Collected Tax | 州の売上税・各国のVAT(eBayが納める) |
| Total Price | 買い手の支払総額(上の合計) |
注意したいのは、「Total Price」には売上税が含まれていることです。Total Priceの金額だけを売上に計上して、売上税の分を何も処理しないと、受け取っていないお金にまで所得税がかかってしまいます。売上税の分が所得として残らないように処理する必要があります。具体的な処理の方法は、売上の規模や消費税の判定にも関わるため、記帳を始める前に税理士にご確認ください。
なお、売上税は日本の消費税ではないため、払った消費税として差し引く(仕入税額控除の)対象にもなりません。
ドル建ての売上は「TTM」で円に換算する
ドル建ての売上は、円に換算して計上します。原則は取引日の「TTM(電信売買相場の仲値。銀行が公表する、売りと買いの真ん中のレート)」ですが、毎年同じ方法で続けることを条件に、取引日の前月末のTTMや、前月の平均レートなどを使うこともできます(所得税基本通達57の3-2)。
取引件数が多いeBayでは、前月末のTTMを使うのが実務的です。たとえば5月15日に発送した$100の商品は、4月末のTTMが150円なら15,000円で計上します。過去のTTMは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「過去の為替相場」で確認できます。
ドルのまま仕入れに使った場合や、年末に残った売掛金の扱い(個人と法人の違い)は、次の記事で詳しく解説しています。

eBayを通さない直接取引も売上になる
「リピーターの方とは、eBayを通さずにPayPalで直接やり取りしています。その場合はどうなりますか」というご相談もありました。eBayの外で売った分も、もちろん売上です。eBayのレポートには出てこないので、PayPalの取引履歴やメール・請求書から、発送日・金額・相手先を自分で一覧にしておく必要があります。消費税の還付を受ける場合は、輸出したことを示す書類(後述)もeBay経由の取引と同じように保存してください。
経費と仕入れは「証拠」と「為替差損益」までそろえる
eBay手数料は売上と分けて計上し、Tax Invoiceを保存する
手数料は、売上から差し引いた手取り額で計上するのではなく、売上は売上、手数料は手数料として分けて計上します(総額で計上する方法)。手取り額だけで売上を立てると、売上と経費の両方が実際より少なく記録され、消費税の計算も合わなくなります。
eBayの手数料には、Final Value Fee(落札手数料)、Promoted Listings Fee(広告費)、海外決済の手数料などがあります。これらの金額と、手数料にかかった日本の消費税の額は、Tax Invoiceで確認できます。
- 取得先:Seller Hub → Payments → Reports → Tax Invoices(月ごとにダウンロード)
消費税の還付を受けるには、払った消費税を証明する書類の保存が欠かせず、eBay手数料ではTax Invoiceがその書類になります。確定申告の前にまとめて取ろうとすると抜けが出やすいので、毎月ダウンロードしておくことをおすすめします。手数料の円換算も、売上と同じ方法(前月末のTTMなど)で行います。
仕訳例
$100の商品を発送し、eBay手数料が$15だった場合(前月末のTTMを150円とします)。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 売上計上時 | 売掛金 15,000円 | 売上高 15,000円 |
| 手数料計上時 | 支払手数料 2,250円 | 売掛金 2,250円 |
Payoneerの入金では「為替差損益」が出る
eBayの売上は、Payoneerを経由して日本の銀行口座に入金されます。売上を計上したときのレートと、実際に円で入金されたときのレートは違うため、その差額を「為替差損益」として計上します。
上の例で、手取りの$85が、1ドル145円で円に替えられて入金された場合は次のとおりです。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 入金時 | 普通預金 12,325円/為替差損 425円 | 売掛金 12,750円 |
売掛金の残高($85×150円=12,750円)と、実際の入金額($85×145円=12,325円)の差の425円が為替差損です。円安で入金額が多くなれば、逆に為替差益(収入)になります。Payoneerから銀行へ出金するときの手数料は、支払手数料として計上します。
為替差損益と出金手数料は、Payoneerの明細と銀行の入金額を突き合わせないと出てこないため、計上が漏れやすい項目です。
仕入れの送料や梱包資材も忘れずに
メルカリ・ヤフオク・楽天・Amazonなどでの仕入れでは、商品代金のほかに、仕入れのときの送料(仕入れ値に含めて計上)や、発送用の梱包資材、海外への送料(荷造運賃)なども経費になります。仕入れ先のサイトごとに購入履歴をダウンロードしておくと、記帳が楽になります。
年末に残った在庫は経費から外す(棚卸)
仕入れた商品は、売れるまで経費になりません。その年の経費になる仕入れ(売上原価)は「年初の在庫+その年の仕入れ-年末の在庫」で計算するため、年末に売れ残っている在庫は、数を数えて金額を出す必要があります。青色申告か白色申告かに関係なく必要な手続きです。
在庫の単価は、評価方法の届出をしていなければ「最終仕入原価法」(年末に一番近い時期に仕入れたときの単価で評価する方法)で計算します。中古品のように一点ずつ仕入れ値が違う商品では、実際にいくらで仕入れたかの記録が大切です。「まとめて仕入れたので一冊ずつの仕入れ値がわからない」といった場合の考え方や、売れ残り・値下がりした在庫の扱いは、こちらで詳しく解説しています。

消費税の還付は「届出の期限」と「保存する書類」で決まる
輸出は消費税がかからず、仕入れの消費税が戻ってくる
消費税は「売上で預かった消費税-仕入れや経費で払った消費税」で計算します。輸出の売上には消費税がかからない(輸出免税)ため、国内で仕入れた商品や送料・手数料で払った消費税のほうが多くなり、その差額が還付されます。
還付を受けるには課税事業者になっておく
還付を受けられるのは、消費税の課税事業者だけです。2年前の売上が1,000万円を超えていれば自動的に課税事業者になりますが、そうでなければ「消費税課税事業者選択届出書」を出して、自分から課税事業者になる必要があります(インボイスの登録をした場合も課税事業者になります)。
届出の期限は、原則として還付を受けたい年の前年の12月31日です。2027年分から還付を受けたい場合は、2026年12月31日までに提出する必要があります。ただし、事業を始めた年は、その年の12月31日までに出せば、その年から課税事業者になれます。この「事業を始めた年」がいつかで、還付を受けられる年が変わります。

また、課税事業者になっても、簡易課税(売上の額から納める消費税を計算する方法)や2割特例(個人事業主の2027年分・2028年分は3割特例)で申告すると、還付は受けられません。輸出が中心の方は、原則どおりの計算方法で申告する必要があります。簡易課税は一度選ぶと原則として2年間やめられないので、届出を出す前に確認してください。
国内仕入れの消費税は「インボイス」と「古物商の特例」に注意
メルカリやヤフオクで個人から仕入れた場合、相手はインボイス(適格請求書)を出せません。インボイスのない仕入れは、原則として払った消費税を差し引けませんが、次のような扱いがあります。
- 古物商の許可を持ち、インボイスを出せない相手(個人など)から販売目的で中古品を仕入れた場合は、帳簿に必要事項を書けば全額差し引ける(古物商特例)
- 1回の取引が税込1万円未満なら、インボイスがなくても帳簿の記載で差し引ける(少額特例。売上規模の要件と、2029年9月30日までの期限あり)
- それ以外は経過措置で一部だけ差し引ける(2026年10月から2028年9月までは70%)
なお、少額特例は1回の取引ごとに判定します。1万円未満に収めるために一つの取引を分けると、取引の実態から判断されるため、認められない可能性があります。古物商の特例の詳しい要件は、こちらにまとめています。

輸出したことを示す書類を保存する
輸出免税を受けるには、輸出したことを証明する書類の保存が必要です。必要な書類は発送の方法で変わります(国税庁タックスアンサーNo.6551)。
| 発送の方法 | 保存する書類 |
|---|---|
| DHL・FedExなどの国際宅配便 | 税関の輸出許可書(金額に関係なく必要) |
| 国際郵便(EMS・小包)で20万円を超えるもの | 税関の輸出許可書 |
| 国際郵便(EMS・小包)で20万円以下のもの | 郵便局の引受けを証する書類と、発送伝票などの控え |
確定申告で提出する書類ではありませんが、税務調査や還付申告の確認の際に求められることがあります。国際宅配便の輸出許可書は配送業者から取り寄せられるので、取得して保管しておいてください。
還付のある申告では、税務署から取引の内容や書類について確認の連絡が来ることがあります。還付金が振り込まれるまでの目安や、確認の連絡が来たときの対応は、次の記事にまとめています。


副業の方・法人の方で違うところ
会社員の副業で始めた方
eBayの利益が出ると、翌年の住民税も増えます。確定申告書で住民税の納め方を「自分で納付」(普通徴収)にすると、増えた分は会社の給与から天引きされず、自宅に届く納付書で納めることになります。ただし、副業の利益の分だけを普通徴収にできるかどうかは市区町村の運用によりますので、お住まいの市区町村にご確認ください。
また、事業用の銀行口座とPayoneerの受取口座は、プライベートの口座と分けておくことをおすすめします。仕訳の手間が減るだけでなく、税務調査で生活費の出入りまで説明する必要がなくなります。
法人でeBayを運営している方
売上の計上日、売上税の扱い、為替の換算、棚卸の考え方は、個人とほぼ同じです。違うのは主に次の点です。
- 申告するのは確定申告ではなく法人税の申告で、期限は原則として決算日の翌日から2か月以内
- eBay・Payoneer・銀行口座は法人名義にそろえる(個人名義のまま法人の売上を受け取ると、個人と法人の取引の区別が難しくなる)
- 設立したばかりの法人は消費税の免税事業者になることが多く、還付を受けるには最初の事業年度が終わるまでに課税事業者を選ぶ届出が必要
個人から法人に切り替えるタイミングや、切り替える年の注意点は、こちらで解説しています。

eBay輸出でよくある記帳ミス
当事務所でお預かりする帳簿や、ご自身で申告された内容を拝見すると、次のようなミスをよく見かけます。
① 売上税の分まで所得にしている
Total Priceを売上にしたまま、売上税(eBay Collected Tax)の分を何も処理していないと、受け取っていないお金にまで所得税がかかります。
② Payoneerの入金日を売上の日にしている
年末に発送して翌年に入金された取引が、翌年の売上になってしまいます。売上は発送日で計上します。
③ 手取り額で売上を計上している
手数料を差し引いた後の金額で売上を立てると、売上と経費の両方が少なくなり、消費税の還付額の計算にも影響します。
④ 為替差損益と出金手数料が漏れている
Payoneerの明細と銀行の入金額を突き合わせていないと出てきません。
⑤ 仕入れた商品をすべて経費にしている
年末に残っている在庫も経費にしたままだと、所得が少なく計算されます。税務調査で指摘されやすい項目です。
どれも、毎月の記帳の段階でルールを決めておけば防げるミスです。
還付の取り逃しを防ぐには、毎月の記帳でそろえておく
ここまで読んでいただくとわかるとおり、eBay輸出の確定申告は、申告の時期だけの作業ではありません。発送日・売上税・為替・Tax Invoice・輸出の証明書類は、毎月の記帳の中でそろえておくものです。年が明けてから1年分をまとめて処理しようとすると、レポートの取り直しや書類の取り寄せで時間がかかり、還付が遅れたり、取れるはずの還付を取り逃したりすることもあります。
実際に、副業でeBayを始めた方から「いち早く還付を受けるために何をすればいいか」とご相談をいただき、事業を始めた日の確認から課税事業者の届出、毎月の記帳までを一緒に進めた例があります。最初に届出の期限と書類の集め方を決めておけば、あとは毎月同じ作業の繰り返しです。
当事務所では、eBayのレポート、Payoneerの明細、仕入れの購入履歴をオンラインでお預かりし、記帳から確定申告・消費税の還付申告まで、税理士・公認会計士が直接担当いたします。決算料はいただいておらず、記帳代行は月5,500円からお引き受けしております(取引の量などにより変わりますので、初回のご相談でお見積りいたします)。大阪市淀川区の事務所ですが、完全オンラインで全国の方に対応しております。
「届出がまだ間に合うか確認したい」「去年の申告がこれで合っていたか見てほしい」といったご相談も歓迎しております。初回のご相談は無料です。まずは今の状況をお聞かせください。
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