eBay Collected Tax(売上税)は売上に含めない|仕訳と消費税の判定を税理士が解説
この記事を書いた人小西 椋磨(税理士 / 公認会計士)

eBayのレポートにある「eBay Collected Tax(売上税)」は、売上に含めません。売上にするのは、商品代金と買い手が払った送料の合計です。
「Total Priceを売上にしていいのか」「売上税は自分が払う税金なのか」というのは、eBay輸出の記帳でつまずきやすいところです。この記事では、売上税の中身、売上から除く理由、含めた場合の消費税への影響、注文レポートの見方と仕訳例までを解説します。eBay・Amazonなど物販事業者の記帳と申告を担当している税理士・公認会計士がまとめました。読み終えるころには、レポートのどの列を売上にすればよいかが分かり、毎月の記帳で迷わなくなります。
売上税(eBay Collected Tax)の中身
売上税を集めて納める人
eBay Collected Taxには、米国の州の売上税(Sales Tax)のほか、英国・EUのVAT(付加価値税)、オーストラリアのGST(物品サービス税)などが含まれます。セラーの間では、まとめて「売上税」と呼ばれることが多い項目です。
米国では、2018年の連邦最高裁判決(South Dakota v. Wayfair)をきっかけに、各州がMarketplace Facilitator法(マーケットプレイスに売上税の徴収・納付を義務づける法律)を設けました。これにより、eBayが自分の名義で売上税を計算し、買い手から受け取って各州に納めています。英国・EU・オーストラリアでも、少額の輸入品についてはeBayがVATやGSTを受け取って納めています。
売上税はeBayが買い手から受け取って納めるもので、セラーが自分で申告・納付する必要はありません。
セラーの手元に入らない理由
売上税は、eBayからセラーへの支払い(Payout)の前に差し引かれるため、セラーの手元には一度も入りません。
コロラド州の「Road Improvement And Food Delivery Fee」のように、eBayが買い手から受け取って州に納める料金も、売上税と同じ扱いになります。
eBayの売上税を売上に含めない理由
所得税と法人税の考え方
売上税は、セラーが受け取る権利のないお金です。会計のルールである「収益認識に関する会計基準」の第47項でも、第三者のために回収する額は売上から除く考え方がとられています。
買い手の支払総額(Total Price)で売上を立て、売上税と同じ額を経費などで差し引いても所得は同じになります。ただ、受け取る権利のないお金を一度売上に入れる理由はないため、最初から売上に含めない処理が実態に合っています。
売上税は、売上にも経費にも入れません。
消費税の考え方
消費税法基本通達10-1-11は、軽油引取税・ゴルフ場利用税・入湯税について、利用者等が納税義務者となっているため、事業者の売上(対価の額)に含まれないとしています。ただし、税額が明確に区分されていない場合は含めることになります。
eBayの売上税も、買い手が負担し、eBayが受け取って納めるもので、レポートでも商品代金とは別の列に分かれています。当事務所では同じ考え方から、消費税の計算でも、輸出の売上(輸出免税売上)に売上税を含めておりません。
国税庁の見解の有無
eBayなどのマーケットプレイスが受け取る海外の売上税について、国税庁が直接取り上げた質疑応答などは見当たりません。ここでの扱いは、上の通達と会計基準の考え方にもとづく当事務所の判断です。
売上税を含めた場合の消費税への影響
輸出の売上は消費税が免除されますが、消費税の「課税売上高」(課税事業者になるかどうかなどの判定に使う売上高)には入ります。
売上税の分まで輸出の売上として集計すると、課税売上高が実際より大きく計算されます。
帳簿に売上税を入れていても、会計ソフトでその分の消費税の区分を「対象外」(消費税の計算に含めない区分)にしていれば、課税売上高には入りません。問題になるのは、Total Priceを総額のまま取り込み、売上税の分も輸出売上と同じ区分で集計してしまった場合です。売上税を最初から売上に含めなければ、この取り違えは起きません。
影響の出方は、消費税の還付を受けているかどうかで変わります。
消費税の還付を受けている方は、すでに課税事業者(消費税の申告・納付が必要な事業者)として、原則どおりの計算方法で申告しています。簡易課税(売上の額から納める消費税を計算する方法)や3割特例を選ぶと還付は受けられないため、これらの判定が変わっても、還付の額そのものに大きな影響は出にくいのが実情です。ただし、申告書の課税売上高が実際と違う数字になるので、正しい金額で申告するためにも売上税は除いておく必要があります。
影響が大きいのは、まだ還付を受けておらず、免税事業者のままでいる方です。2年前の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は自動的に課税事業者になります。仮の数字で、売上税を除いた売上が980万円、売上税が60万円だとすると、売上税を含めた1,040万円で判定すれば課税事業者、正しい980万円で判定すれば免税事業者となり、結論が逆になります。
国内向けの販売もしていて簡易課税(基準期間の課税売上高5,000万円以下)を使っている方や、個人事業主の3割特例(基準期間の課税売上高1,000万円以下)を使っている方も、同じように判定の金額がずれます。
当事務所では、eBayのレポートから売上・手数料・売上税を分けて記帳し、消費税の判定や還付の申告まで、税理士・公認会計士が直接担当しております。全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。
eBayのレポートの見方と仕訳例
注文レポートの列と売上にする金額
Seller Hubの注文レポート(Orders)では、次の列を分けて確認します。
| 列名 | 中身 | 売上への計上 |
|---|---|---|
| Sold For | 商品代金 | 含めます |
| Shipping And Handling | 買い手が払った送料 | 含めます |
| eBay Collected Tax | 売上税 | 含めません |
| Total Price | 買い手の支払総額(上の合計) | 使いません |
売上にする金額は、Sold ForとShipping And Handlingの合計です。
Shipping And Handlingは買い手が負担した送料なので、セラーの売上になります。セラーが実際に配送業者などへ払った国際送料は、売上から差し引かず、別に荷造運賃として経費にします。なお、国際送料は輸出のための送料で消費税がかからないため、消費税の還付の対象にはなりません。
取引レポート(Transaction report)でも、売上税は別の列に分かれています。取引の総額の列には売上税が含まれているので、総額をそのまま売上にしない点は注文レポートと同じです。
仕訳例
商品代金$150、買い手が払った送料$50、売上税$16で、Total Priceが$216の取引です。落札手数料(Final Value Fee)は$29.78、手取りは$170.22とし、前月末のTTM(電信売買相場の仲値)の1ドル150円で換算します。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 売上計上時 | 売掛金 30,000円 | 売上高 30,000円 |
| 手数料計上時 | 支払手数料 4,467円 | 売掛金 4,467円 |
売上は$200×150円、手数料は$29.78×150円です。売上税の$16(2,400円)は仕訳に出てきません。
比べると、Total Priceで売上を立てた場合は売上高が32,400円になります。そこから売上税の2,400円を経費などで差し引けば所得は同じですが、32,400円をすべて輸出売上の区分で集計すると、消費税の課税売上高は2,400円多くなります。
なお、落札手数料は売上税を含めた$216に対してかかっています。自分の売上ではない売上税の分にも手数料がかかるのはeBayの手数料の決まりによるもので、手数料は実際に差し引かれた額をそのまま経費にします。売上税を除いて計算し直すことはしません。
この処理をすると、eBayのレポートの取引の総額と、帳簿の売上は一致しなくなります。照らし合わせるときは、レポートの総額からeBay Collected Taxの合計を引いた金額(Sold ForとShipping And Handlingの合計)が、帳簿の売上と合っているかを確認します。

手数料の総額計上との違い
eBayの手数料は、売上から差し引いた手取り額で売上を立てるのではなく、売上と手数料を分けて計上します(総額で計上する方法)。
「手数料は総額なのに、売上税は除くのか」と疑問に思われるかもしれませんが、この2つは矛盾しません。手数料はセラーが払う費用ですが、売上税はそもそもセラーのお金ではないためです。手数料を分けて計上しないと、Tax Invoiceに載っている手数料の消費税を差し引けなくなります(次の章で説明します)。
手数料は分けて計上し、売上税は最初から帳簿に入れない、と覚えておくと迷いません。

eBayの売上税でよくある記帳ミス
当事務所で帳簿や申告内容を拝見すると、次のようなミスを見かけます。
Payoneerの入金額での売上計上
いちばん多いのは、Payoneerに入金された金額で売上を立てているケースです。入金額からは売上税が除かれているので、売上税の扱いだけを見ると正しいように見えます。
ただし、入金額は落札手数料などのeBay手数料も差し引かれた後の金額です。手数料が帳簿に出てこないため、Tax Invoiceに載っている手数料の消費税を、課税仕入れ(払った消費税として差し引けるもの)として計上できません。
Payoneerの入金額で売上を立てると、eBay手数料にかかった消費税の分だけ還付を受けられなくなります。
売上も手数料の分だけ少なく記録され、計上する日も発送日ではなく入金日にずれます。売上は発送日にSold ForとShipping And Handlingの合計で立て、手数料はTax Invoiceをもとに別に計上することで、手数料の消費税も還付の計算に入ります。
総額での取り込みと区分の誤り
反対に、総額で取り込んだ場合には次のようなミスがあります。
- Total Priceをそのまま売上にして何も差し引いていないと、受け取っていない売上税の分まで所得になります。
- 会計ソフトや連携ツールで総額のまま取り込まれていると、気づかないうちに売上税が売上に含まれます。
- 売上税の分まで輸出売上の区分で集計していると、経費で同じ額を差し引いて所得が合っていても、課税売上高がふくらみます。
- 売上税を日本の消費税と考えて差し引こうとしても、仕入税額控除(払った消費税を差し引くこと)の対象にはなりません。
会計ソフトに取り込んだあとも、売上税が売上から除かれているかの確認が欠かせません。
過去の申告で含めていた場合
同じ額を経費などで差し引いていれば所得は同じなので、所得税や法人税が追加でかかることは通常ありません。これからの記帳を、Sold ForとShipping And Handlingの合計で売上を立てる形に改めれば足りることがほとんどです。
売上税の分を「対象外」の区分にしていれば、消費税の判定にも影響はありません。気をつけたいのは、免税事業者のままでいる方が、売上税の分まで輸出売上の区分で集計し、その金額で1,000万円の判定をしていた場合です。売上税を除けば判定が変わる年がないかは、その年の売上の規模や届出の状況によるため、個別に確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. 売上税はセラーが払う税金ですか?
いいえ。eBay Collected Taxは買い手が負担し、eBayが受け取って納めるものです。セラーが自分で申告・納付する必要はありません。
Q. Seller Collected Taxという列は何ですか?
セラー自身が売上税を受け取って納める場合に使う列です。日本から発送するセラーの取引では、売上税はeBayが受け取るためeBay Collected Taxの列に金額が入り、Seller Collected Taxに金額が入ることは通常ありません。
Q. 売上税は消費税の還付の計算に関係しますか?
売上税は日本の消費税ではないため、払った消費税として差し引くことはできません。eBay手数料のTax Invoiceに載っている日本の消費税とは別のものです。
還付の申告でも、売上税は輸出の売上に含めず、日本の消費税とも分けて扱います。

Q. 過去の申告で売上税を売上に含めていた場合は?
同じ額を差し引いていれば所得は同じです。消費税も、売上税の分を「対象外」の区分にしていれば影響はありません。売上税の分まで輸出売上の区分で集計していた場合は、判定に使った年のレポートと帳簿をもとに、直す必要があるかを確認いたします。
売上税の扱いは、毎月の記帳で商品代金・送料・手数料・売上税を分けておけば迷いません。反対に、1年分をまとめて処理しようとすると、会計ソフトに総額のまま取り込まれていたことに申告の直前で気づき、消費税の判定までさかのぼって確認し直すことがあります。
当事務所では、eBayのレポートやPayoneerの明細をオンラインでお預かりし、毎月の記帳から確定申告・消費税の還付申告まで、税理士・公認会計士が直接担当いたします。決算料はいただいておらず、記帳代行は月5,500円からお引き受けしております(取引の量などにより変わりますので、初回のご相談でお見積りいたします)。
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