適格請求書の書き方|記載事項6項目と間違えやすい点を税理士が解説
この記事を書いた人堀 真彰(税理士 / 公認会計士)

インボイス制度が始まって3年目に入り、請求書の発行そのものには慣れてきた方が多いと思います。ただ、いざ自社の請求書を見返すと「この書き方で本当に要件を満たしているのか」と不安になることはないでしょうか。実は、要件を満たしていない請求書は、受け取った取引先が仕入税額控除を受けられません。この記事では、適格請求書(インボイス)に必要な6項目と、実務で間違いが起きやすいポイントを税理士が整理します。
はじめに
こんにちは、税理士法人淀川パートナーズの堀です。
「登録番号さえ入れておけばインボイスになる」と思っている方が、実はとても多いです。
登録番号は6つある記載事項のうちの1つにすぎません。特に間違いが多いのが金額まわりの書き方で、ここを外すと、取引先の経理から請求書を差し戻されることになります。
この記事では、消費税法が定める6項目を確認したうえで、実務で漏れやすい2項目を具体例で解説します。あわせて、飲食店や小売店のレシートが要件を満たす理由(=適格簡易請求書)についても触れます。
適格請求書の記載事項は6項目
適格請求書に書くべき内容は、消費税法第57条の4第1項で次の6項目と決められています。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| ①発行者の氏名または名称 および登録番号 | 請求書を発行する側の名前と、税務署から通知された登録番号 |
| ②取引年月日 | 取引を行った日付 |
| ③取引内容 (軽減税率の対象品目である旨) | 商品やサービスの内容。軽減税率(8%)の対象があれば、その旨がわかる表示 |
| ④税率ごとに区分して合計した金額 および適用税率 | 税抜または税込の金額を、10%と8%に分けて合計した額と、その税率 |
| ⑤税率ごとに区分した消費税額等 | 10%分・8%分それぞれの消費税額 |
| ⑥書類の交付を受ける事業者の 氏名または名称 | 請求書を受け取る側の名前(いわゆる宛名) |
請求書という名前がついていなくても構いません。納品書やレシートでも、この6項目が書かれていれば適格請求書になります。逆に、複数の書類(請求書+納品書など)を合わせて6項目を満たす形でも認められます。
登録番号は「T」から始まる番号
①の登録番号は、法人番号を持つ法人であれば「T+法人番号(13桁)」、個人事業主などそれ以外の場合は「T+13桁の数字」という構成になります。個人事業主の番号はマイナンバーとは無関係の、まったく別の番号です。
インボイス制度そのものの仕組みや、2026年の変更点については別の記事で解説しています。

間違えやすいのは④と⑤|税率ごとの区分と適用税率
6項目のうち、①②③⑥は従来の請求書にも書いていた内容なので、まず問題になりません。実務でつまずくのは、金額まわりの④と⑤に集中します。
原則1:金額は税率ごとに分けて合計する
④が求めているのは、明細を並べることではなく「10%の合計はいくら、8%の合計はいくら」という区分けです。明細行がずらりと並んでいても、税率ごとの小計欄がなければ要件を満たしません。
また、合計金額に添えて適用税率(10%・8%)そのものを明示することも④の一部です。金額だけ分けて税率を書いていないケースが、差し戻しの典型例です。
原則2:適用税率と消費税額等は両方書く
ここが最も誤解の多いところです。④の適用税率と⑤の消費税額等は、どちらか一方ではなく両方が必要です。
「適用税率または消費税額」と説明している解説を見かけますが、これはインボイス制度が始まる前の区分記載請求書等保存方式(2019年10月〜2023年9月)のルールです。古い情報がそのまま残っているものなので、注意してください。
原則3:10%の取引だけでも記載は省略できない
「うちは飲食料品を扱っていないので、軽減税率は関係ない」という方も多いと思います。しかし、取引が10%だけであっても、適用税率と消費税額等の記載は省略できません。「10%対象 110,000円(うち消費税10,000円)」のように、税率がわかる形で書く必要があります。
よくあるNGパターンを挙げておきます。
- 明細は並んでいるが、税率ごとの小計欄がない
- 合計欄に「消費税 12,000円」とだけあり、10%分・8%分に分かれていない
- 金額は税率ごとに分かれているが、「10%」「8%」という表示がどこにもない
- 軽減税率の対象品目があるのに、※印などの目印がない
- 登録番号が請求書の様式に入っていない
お使いの会計ソフトや請求書ソフトが対応済みであれば、様式は自動で整います。ExcelやWordで自作している場合は、この5点だけ確認しておけば大きな漏れは防げます。
そもそも仕入税額控除がどういう仕組みなのかは、こちらで詳しく解説しています。

レシート・領収書は「適格簡易請求書」でよい|宛名は不要
スーパーやタクシーのレシートに宛名が入っていないことを不思議に思ったことはないでしょうか。これは適格簡易請求書という、記載事項が緩和された形式が認められているためです。
対象になるのは、消費税法施行令第70条の11で定められた次の事業です。
- 小売業、飲食店業、写真業、旅行業
- タクシー業(一般乗用旅客自動車運送事業)
- 駐車場業(不特定かつ多数の者に提供するものに限る)
- 上記に準ずる事業で、不特定かつ多数の者に対して行うもの
通常の適格請求書との違いは、次の2点です。
| 適格請求書 | 適格簡易請求書 | |
|---|---|---|
| 宛名(交付を受ける事業者の氏名) | 必要 | 不要 |
| 適用税率と消費税額等 | 両方必要 | どちらか一方でよい |
注意したいのは、この緩和が使えるのは上記の事業に限られる点です。不特定多数の相手と取引する業種だからこそ認められている特例なので、一般的なBtoBの取引で「宛名は省略してよい」とはなりません。
なお、電車やバスの運賃のように、そもそもインボイスの交付を受けなくてよい取引もあります。

まとめ
- 適格請求書の記載事項は消費税法第57条の4第1項が定める6項目
- 間違いが集中するのは金額まわりの④と⑤
- 金額は税率ごとに区分して合計し、適用税率も明示する
- 適用税率と消費税額等は「どちらか一方」ではなく両方が必要
- 取引が10%だけでも、適用税率と消費税額等の記載は省略できない
- 小売業・飲食店業・タクシー業などは適格簡易請求書でよく、宛名は不要
要件を満たさない請求書は、受け取った取引先が仕入税額控除を受けられません。金額の大きい取引ほど影響も大きくなるため、一度ご自身の請求書の様式を確認しておくことをおすすめします。
※本記事は2026年9月時点の情報です。個別の税務判断はご相談ください。
【申告・税務でお困りの方へ】
「自分のケース、どうすればいいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。
税理士法人淀川パートナーズは大阪市淀川区の税理士事務所です。
個人事業主・フリーランス・中小企業の税務顧問・確定申告・記帳代行を全国オンライン対応しています。
初回相談は無料です。LINEで「相談したい」とお送りください。
Tax Advisory
確定申告・記帳は、税理士に相談しませんか。
個人事業主の確定申告から法人の決算まで対応。税務顧問は月額16,500円〜(税込)・決算料0円です。
初回相談無料|2営業日以内にご返信いたします|料金・サービス内容を見る



