【ポケカ×eBay】PSA鑑定品の消費税|みなし輸出と輸出免税を税理士が解説
この記事を書いた人堀 真彰(税理士 / 公認会計士)

PSAで鑑定したポケモンカードをeBayで海外に売ると、消費税は還付されるのか。答えは、カードをどこから発送し、どこで売るかで変わります。日本から海外の購入者へ発送すれば輸出免税、米国のPSA Vault(PSAの保管サービス)に預けたまま売るならみなし輸出という別の仕組みです。
売り方ごとの消費税の扱いと保存する書類、鑑定料の処理を、eBay輸出や古物の物販の記帳と申告を担当している税理士・公認会計士が解説します。読み終えるころには、ご自分のカードがどのパターンに当たり、還付のために何を準備すればよいかが分かります。
PSA鑑定品をeBayで売るときの消費税の全体像
消費税では、売る時点でカードがどこにあるかで取引の扱いが決まります(消費税法4条3項)。代表的なパターンは次のとおりです。
| 売り方 | 消費税の扱い |
|---|---|
| 日本から海外の購入者へ発送 | 輸出免税(売上の消費税は0円) |
| PSA Vaultに預けたまま米国で販売 | 販売は国外取引(対象外)、送った時点がみなし輸出 |
| 日本国内の購入者に販売 | 課税(10%) |
| 鑑定のため米国PSAへ送り、日本へ戻す | 売上ではない(戻すときに輸入消費税) |
同じeBayでの販売でも、カードがどこにあるかで消費税の扱いが変わります。どのパターンでも、仕入れの消費税の還付を受けるには、課税事業者(消費税の申告と納税をする事業者)になっていることが前提です。
なお、趣味のコレクションを売る場合と、事業として転売する場合の所得税の違いは、こちらの記事で解説しています。

日本から発送する場合の輸出免税
輸出免税になる取引
eBayで海外の購入者に売れたカードを日本から発送する場合は、消費税が免除されます(消費税法7条1項)。売上に消費税はかからない一方、仕入れで払った消費税は差し引けるため、差し引く額のほうが多ければ還付になります。
ただし、購入者が日本国内の住所(海外への転送業者を含む)を届け先にした場合は、国内での引渡しです。輸出免税にはならず、消費税10%がかかる売上になります。
保存が必要な輸出の証明書類
輸出免税を受けるには、輸出の証明書類を7年間保存します。発送方法によって書類が違います。
| 発送方法 | 保存する書類 |
|---|---|
| FedEx・DHLなどのクーリエ | 税関の輸出許可書(金額に関係なく必要) |
| 国際郵便で1個20万円超 | 税関の輸出許可書 |
| 国際郵便(小包・EMS)で1個20万円以下 | 郵便局の引受けを証する書類と発送伝票の控え |
クーリエでは運送会社が輸出の申告を代行するため、発行を依頼しないと輸出許可書が手元に届かないことがあります。取り寄せたら、輸出者の名前が自分になっているかも確認します。
令和8年10月1日以後の輸出では、代金を現金で受け取る場合や、取引相手以外の人から振り込まれる場合などに、相手国の輸入許可書といった書類の保存も必要になりました(国税庁 タックスアンサーNo.6551 輸出取引の免税)。
輸出免税は、輸出許可書などの証明書類を保存して初めて認められます。
PSA Vaultで売る場合のみなし輸出
PSA Vaultで販売する流れ
PSA Vaultは、PSAが米国で運営している鑑定済みカードの保管サービスです。預けたカードはPSAを通じてeBayなどで販売でき、購入者への発送もPSA側が行います。日本からの鑑定の受付条件は時期によって変わっているため、最新の情報はPSAの案内で確認してください。
たとえば、副業でポケモンカードを販売している個人が、日本からFedExで米国のPSAへカードを送り、鑑定後は日本に戻さずPSA Vaultに預けて米国で売るケースを考えてみます。このとき「仕入れで払った消費税は還付されるのか」が問題になります。
国外取引とみなし輸出の関係
PSA Vaultから米国の購入者へ売る時点で、カードは米国にあります。この販売は国外取引で、日本の消費税の対象外(不課税)です。輸出免税(消費税法7条)は日本から輸出して売る取引の規定なので、使えません。
一方、日本からカードを送った時点には、消費税法31条2項の規定があります。国外で売るため、または国外で自分が使うために資産を輸出した場合、証明書類があれば、その輸出を輸出取引とみなして仕入れの消費税の控除の規定を当てはめるというものです。この記事では「みなし輸出」と呼びます(法令上の正式な名前ではありません)。
米国で売る目的でPSAへ送ったカードは、送った時点でみなし輸出として扱われます。このとき、送ったカードの価額(輸出申告で申告する価格)を、還付額の計算に使う課税売上割合の計算に含めます(消費税法施行令51条3項・4項)。米国で売れたときの販売額は、この計算には入れません。
みなし輸出の証明書類
みなし輸出には、自分の名義の税関の輸出許可書(郵便で送った場合は郵便の書類)を7年間保存する必要があります(消費税法施行規則16条2項)。FedExの集荷伝票や配送の追跡記録は、輸出許可書の代わりにはなりません。発送する前に、自分の名義の輸出許可書を発行してもらえるかをFedExに確認し、依頼しておきます。
海外の倉庫に在庫を送ってから販売する点は、Amazon輸出のFBA(海外のAmazon倉庫)でも同じです。みなし輸出の考え方は、こちらの記事でも解説しています。

当事務所では、eBay輸出や古物の物販について、売り方ごとの消費税の判定から輸出書類の整理、還付申告まで対応しています。全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。
米国PSAから日本へ返送する場合の輸入消費税
鑑定のために米国のPSAへ送り、鑑定後に日本へ戻す場合は、カードを売ったわけではないので売上にはなりません。国外で売るための輸出でもないため、みなし輸出にも当たりません。売上になるのは、日本に戻ったカードを改めて販売したときです。
日本に戻ってきたカードには、輸入消費税がかかることがあります。税関には、税金が軽くなる制度が2つあります。
- 再輸入免税:輸出したときと性質・形状が変わっていないものを輸入する場合に、関税と消費税が免除されます(税関 カスタムスアンサー1609)
- 加工・修繕のための輸出貨物の減税:1年以内に戻すものが対象です。加工の場合は日本で行うことが難しいものに限られ、輸出の時点で手続が必要です
鑑定でケースに封入されたカードがどちらに当てはまるかは、税関の判断になります。どちらも輸出したときの書類が前提で、戻ってきてからでは間に合わないことがあります。日本に戻す予定のカードは、送る前に税関や運送会社に手続を確認しておくことが大切です。
課税事業者が払った輸入消費税は、仕入れの消費税として差し引けます。そのためには、自分の名義の輸入許可書などを保存しておく必要があります。運送会社が輸入の手続を代行する場合も、輸入者が自分の名義になっているかを確認します。
鑑定料・仕入れの消費税と在庫の取得価額
鑑定料の消費税
PSA Japanに払う鑑定料は国内の取引で、消費税10%がかかっています。差し引くには適格請求書(登録番号が書かれた請求書)が必要なので、登録番号があるかを確認して保存します。
米国のPSAに払う鑑定料やPSA Vaultの保管料・販売手数料は、サービスが行われる場所が米国のため、一般に国外の取引で、日本の消費税はかかっていません(消費税法4条3項2号)。還付の計算には入りません。
中古カードショップ・個人からの仕入れ
中古カードショップからの仕入れは、ショップの適格請求書を保存します。メルカリや個人など、インボイス登録をしていない相手から在庫として古物を買い受けた場合は、古物商の許可を受けている方なら、帳簿に古物商特例の対象である旨や相手の住所などを書くことで、仕入れの消費税を差し引けます(消費税法施行令49条1項1号ハ)。
古物商の特例を使うときの帳簿の書き方は、こちらの記事で解説しています。

所得税での鑑定料の扱い
消費税とは別に、所得税(確定申告)では、鑑定料はカードを販売するために直接かかった費用として在庫の原価に含めます(所得税法施行令103条1項1号)。年末に売れ残っているカードの鑑定料は、その年の経費ではなく在庫の金額に含めます。PSA Vaultに預けたままのカードも自分の在庫なので、枚数と仕入金額を一覧にしておきます。
消費税還付を受けるための条件
課税事業者の選択と一般課税
還付を受けられるのは、課税事業者のうち、一般課税(売上と仕入れの消費税を実際の金額で計算する方法)で申告する方です。簡易課税や2割特例を選ぶと、輸出が多くても還付はありません。免税事業者の方が課税事業者になる方法は2つあります。
- 消費税課税事業者選択届出書:個人の場合、提出した年の翌年から課税事業者になります(消費税法9条4項)。来年から還付を受けたいなら、今年の12月31日までに提出します。事業をやめた場合を除き、少なくとも2年間は課税事業者を続ける必要があります(消費税法9条6項)
- インボイス登録(適格請求書発行事業者の登録):令和11年9月30日を含む課税期間までは、登録した日から年の途中でも課税事業者になれます。登録した日から2年を経過する日を含む課税期間までは、免税事業者に戻れません
国内の取引先にインボイスを発行する必要がなければ、選択届出書だけで課税事業者になる方法もあります。eBayでの販売やPSA Vaultへの発送を本格的に始める前に、いつから課税事業者になるかを決めておきます。
課税事業者になる前に仕入れたカード
免税事業者の期間に仕入れたカードでも、課税事業者になる日の前日に在庫として持っているものは、その消費税を課税事業者になった年に差し引けます(消費税法36条)。課税事業者になる前に仕入れた在庫も、明細を作って保存しておけば、消費税を差し引く対象になります。明細を記録した書類は7年間保存します(国税庁 タックスアンサーNo.6491)。
課税期間の短縮
消費税の申告は原則として年1回で、還付金が入るのは翌年の春以降です。消費税課税期間特例選択・変更届出書を出して申告の期間を3か月ごとや1か月ごとにすると、還付を早く受け取れます(消費税法19条)。いったん短縮すると2年間は元に戻せないなどの注意点は、こちらの記事でまとめています。

毎年続く判定と書類の管理
PSA鑑定品の販売では、カード1枚ごとに「日本から発送したか」「PSA Vaultで売ったか」「日本に戻したか」で消費税の扱いが変わります。輸出許可書の取り寄せや古物商の帳簿の記載も、販売を続けるかぎり毎年続きます。還付のある申告では、税務署から書類の確認の連絡が来ることも多いため、日々の記帳の段階から整えておくことが大切です。
売り方の判定から記帳、還付申告まで継続して任せたい方は、税務顧問のページもご覧ください。
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- PSA鑑定品の消費税は、売る時点でカードがどこにあるかで扱いが変わる
- 日本から海外の購入者へ発送する販売は輸出免税。クーリエは金額に関係なく自分の名義の輸出許可書を保存する
- PSA Vaultで米国で売る販売は国外取引(不課税)。日本から送った時点がみなし輸出になる
- みなし輸出にも自分の名義の輸出許可書が必要。発送前にFedExなどに依頼しておく
- 鑑定のため米国へ送って日本に戻す場合は、輸入消費税と税関の手続を事前に確認する
- 課税事業者になる前に仕入れた在庫も、明細を保存すれば課税事業者になった年に消費税を差し引ける
- 鑑定料は在庫の原価に含め、売れ残ったカードの分はその年の経費にしない
※本記事は2026年10月時点の情報です。個別の税務判断はご相談ください。
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