【中国輸入】輸入消費税は控除できる?代行業者の名義と資金繰りを税理士が解説
この記事を書いた人堀 真彰(税理士 / 公認会計士)

はじめに
こんにちは、税理士法人淀川パートナーズの堀です。
「売れているのに、手元の現金が増えない」——中国から商品を仕入れて販売していると、こうした状態に陥ることがあります。
中国輸入は、商品が届く前に工場へ代金を払い、通関のときに関税と輸入消費税を払い、売れて入金されるのはさらにその後です。お金が出ていく順番と、戻ってくる順番が大きくずれます。しかも通関で払う輸入消費税は、誰でも後で差し引けるわけではありません。ご自身がどの立場で消費税を申告しているかによって、差し引ける人と、そのままコストになる人に分かれます。
この記事では、現金が出ていく順番、輸入消費税を差し引ける人と差し引けない人の違い、控除のために確認しておきたい名義と書類、そして資金繰りを守るための手段を、順番に見ていきます。
中国輸入は現金が先に出ていく|前払い・在庫の積み増し・通関時の関税と輸入消費税
まず、お金がどの順番で動くのかを整理します。
| タイミング | 出ていくお金 | 入ってくるお金 |
|---|---|---|
| 発注・出荷前 | 工場への商品代金(前払い) | — |
| 通関時 | 関税・輸入消費税・国際送料・通関費用 | — |
| 販売 | 販売手数料・広告費 | — |
| 入金日 | — | 販売サイトからの入金(締め日の後) |
| 消費税の申告・納付 | 売上の消費税(輸入消費税の分を差し引ける場合あり。立場によります) | — |
ここで見落とされやすいのが、工場への支払いには日本の消費税がかからないという点です。商品の譲渡が国内で行われたかどうかは、原則としてその商品が所在していた場所で判定します。中国にある商品を買う取引は国外取引にあたり、日本の消費税の課税対象外(不課税取引)になります(国税庁タックスアンサーNo.6210「国外取引」)。
つまり工場へ送金した時点では、後で控除できる消費税は発生していません。消費税は、通関のときにまとめて出ていきます。前払いで現金が減った直後に、さらに関税と輸入消費税を払う形になるわけですね。
よくあるパターン|売れているのに現金が減っていく
たとえば、スマホまわりのガジェットを中国から輸入して販売しているケースを考えてみます。売上は伸びていて、商品も動いている。それでも通帳の残高が月ごとに薄くなっていく、ということが起こります。
原因は、工場への前払いと、在庫の積み増しが同時に起きていたことです。売れる手応えがあるほど次の発注を大きくしたくなり、その代金は商品が届く前に出ていきます。結果として、利益は出ているのに現金が足りない状態になります。こうした場合は、資金繰り表で発注と入金の予定を見えるようにしたうえで、必要に応じて融資で運転資金を確保するのが基本の対策です(後半で詳しく説明します)。
輸入消費税を差し引ける人・差し引けない人|課税事業者・免税事業者・簡易課税
ここからは税金の話になりますが、結論としては手元に残る現金がどれだけ変わるかの話です。通関で払った消費税を、申告のときに売上の消費税から差し引ける人と、そのまま仕入れのコストになる人がいます。
輸入した商品には消費税がかかります。そしてその消費税を納める義務があるのは、貨物を保税地域から引き取る人、つまり輸入申告をした人です(同No.6133「輸入する貨物の納税義務者」)。消費税の免税事業者かどうかは関係なく、通関のときには払います。
なお、課税価格の合計額が1万円以下の貨物は、関税と消費税が免除されます。ただし革製のカバンや編物製の衣類など、免除の対象外とされている品目もあります(税関カスタムスアンサー1006)。
ところが、払った消費税を控除できるかどうかは立場によって変わります。
| ご自身の立場 | 通関時の輸入消費税 | 申告のときの扱い |
|---|---|---|
| 課税事業者(原則課税) | 納める | 売上の消費税から差し引ける(控除) |
| 免税事業者 | 納める | 控除できない(そのままコストになる) |
| 簡易課税を選んでいる | 納める | 実際の輸入消費税は計算に使わない。原則として還付は生じない |
消費税法第30条第1項は、仕入税額控除の対象になる事業者を「消費税を納める義務が免除される事業者を除く」と定めています。免税事業者にとって、輸入消費税は差し引けない負担になるということです。
簡易課税の場合も考え方が変わります。簡易課税は、売上に係る消費税額に事業区分ごとのみなし仕入率をかけた金額を、仕入れに係る消費税額として控除する制度です(同No.6505「簡易課税制度」)。実際に払った輸入消費税がいくらであっても、その金額は控除の計算に登場しません。仕入金額が大きくなりやすい輸入物販では、この選択が納税額を大きく左右します。インボイス登録をきっかけに課税事業者になった方が使える2割特例(個人事業者は令和8年分まで)と、個人事業者が令和9年分・令和10年分に使える3割特例も同じです。売上の消費税の2割・3割を納める仕組みなので、実際の輸入消費税は計算に使いません。
原則課税と簡易課税のどちらが有利になりやすいかは、こちらの記事で比較しています。輸入の有無にかかわらず、選ぶ前に一度確認しておきたい内容です。

なお、原則課税でも還付になることは多くありません。国内で販売していれば、売上にかかる消費税は、仕入れのときに払った輸入消費税より大きくなるのが普通だからです。輸入消費税は「戻ってくるお金」というより、申告のときに納める消費税を減らすものと考えてください。還付になりうるのは、開業した直後や在庫を大きく積み増した時期など、その課税期間の仕入れが売上を大きく上回ったときです。
どの方式が有利かは、仕入れの規模・利益率・これからの発注計画で変わります。免税事業者の方が課税事業者を選ぶ場合も、届出の期限と継続適用のルールがあります。判断に迷う場合は、発注の計画を持ったうえでご相談ください。
控除できるのは輸入申告者だけ|輸入代行とEMSで名義と書類を確認する
中国輸入では、輸入代行業者を使う方が多いと思います。ここに実務上の落とし穴があります。名義や書類をおさえていないと、本来差し引けるはずだった消費税が差し引けず、そのまま仕入れのコストが上がります。
国税庁の質疑応答事例「輸入取引に係る輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱いについて」には、こういうケースが載っています。輸入を国内の代行業者に委託し、代行業者が輸入消費税を一時的に負担して、後日その相当額を自社が代行業者に支払う。このとき控除するのはどちらか、という照会です。回答は「輸入申告を行った自社が控除する」で、代行業者では控除できないとされています。輸入申告をするのは、原則として仕入書に荷受人として記載された人です。
逆のケースも示されています。通関手配と国内倉庫への搬入だけを代行した業者は、たとえ輸入消費税を立て替えていても輸入申告者にはあたらず、控除できないとされています。
控除できるかどうかは「誰がお金を払ったか」ではなく、「誰の名前で輸入申告したか」で決まります。代行業者に任せきりにしている場合は、まず輸入申告の名義がご自身になっているかを確認してみてください。
次の発注の前に、代行業者へこの2点を聞いておくと確実です。そのまま使える文面にしています。
- 輸入申告は、こちら(当社)の名義で行っていただけますか。
- 輸入許可書(または国際郵便物課税通知書)の写しをいただけますか。
代行業者によっては、名義を変えるために事前の手続きや追加の費用がかかる場合があります。変更できるかどうかも含めて、まずは確認してみてください。
書類も確認が必要です。輸入した商品の控除では、海外の取引先が発行する請求書ではなく、税関長から交付を受ける輸入許可書などを保存することが要件になっています(同No.6497)。
ここで、小口の輸入をしている方は注意してください。EMSなどの国際郵便で届く貨物のうち、課税価格が20万円以下のものは賦課課税方式が適用され、輸入許可書は発行されません。代わりに税関から「国際郵便物課税通知書」が送られてきます(税関カスタムスアンサー6103)。控除のために保存が必要な書類は、この課税通知書です(消費税法第30条第9項第5号、同施行令第49条第8項第5号)。税金を納めたときの領収証書も、あわせて保管しておくと安心です。ガジェットのような単価の低い商品を少量ずつ仕入れていると、このパターンに該当しやすくなります。課税通知書は郵便物に添付されて届くため、商品と一緒に捨ててしまわないよう社内で決めておくと安全です。
なお、代行業者に払う手数料そのものの消費税の扱いは、相手が国内の事業者か国外の事業者かによって変わる場合があります。国内の事業者であれば、インボイス(適格請求書)を発行できる登録事業者かどうかでも控除できる金額が変わります。契約書と請求書を見ないと判断できない部分です。
資金繰りを守る3つの手段|納期限の延長・資金繰り表・運転資金の融資
税金の処理を正しくしても、現金が足りなければ発注が止まります。輸入物販の資金繰りで実際に効くのは、次の3つです。
1つ目は、関税等の納期限延長制度です。税額に相当する担保を提供することを条件に、関税・内国消費税などの納付を猶予する制度で、個別延長・包括延長では3か月以内、特例申告を利用する場合は特例申告書の提出期限から2か月以内の延長が認められます(税関カスタムスアンサー1302)。通関時の支払いを後ろにずらせれば、前払いと通関の支払いが重なる山を崩せます。ただし担保の提供が前提のため、事業の規模によっては使いにくい場合もあります。使う予定があるなら、早めに税関や通関業者に相談しておく必要があります。
2つ目は、発注ベースの資金繰り表です。輸入物販の資金繰り表は、売上と経費を並べるだけでは足りません。いつ・いくら発注し、その前払いがいつ出ていくのか、通関はいつで、販売サイトからの入金はいつなのか。この4つを同じ表に載せると、現金が底をつく月が事前に見えます。
資金繰り表そのものを作ったことがない方は、まずこちらの記事の形から始めてください。輸入物販の場合は、これに発注日と前払いの予定を足していきます。

3つ目は、運転資金の融資です。在庫の仕入資金は運転資金として扱われます。「利益は出ているが在庫と前払いに現金が寝ている」という状態は、数字で説明できれば金融機関にも理解されやすい部分です。逆に、資金繰り表がないまま「足りないので貸してほしい」と伝えても、必要額の根拠を示せません。
借りる金額は感覚で決めるのではなく、資金繰り表で現金がいちばん少なくなる月から逆算します。借入額の決め方は、こちらの記事で整理しています。

今日できる3つの確認
読み終えたあと、手元の書類だけで次の3つは確認できます。
- 輸入申告の名義がご自身(自社)になっているか。代行業者の名義になっていないか
- 輸入許可書が保存されているか。課税価格20万円以下の国際郵便なら、国際郵便物課税通知書と領収証書が残っているか
- 次の発注の前払い予定が、資金繰り表に入っているか。通関時に払う関税と輸入消費税も同じ表に入っているか
そして輸入物販は、この発注から入金までのサイクルが仕入れのたびに、毎月繰り返されます。課税方式の選択は届出の期限に縛られ、資金繰り表は発注計画が変わるたびに更新しなければ意味がありません。一度整えて終わりではなく、毎月の数字を見ながら続けていく仕事だとお考えください。
淀川パートナーズでは、資金繰り表の作成から融資の申込みまでをサポートしています。支援の内容と料金はこちらをご覧ください。

まとめ
- 中国輸入は、工場への前払い、通関時の関税と輸入消費税、販売後の入金という順番でお金が動くため、現金が先に出ていく
- 中国にある商品を買う取引は国外取引で、日本の消費税は不課税。消費税は通関時にまとめて出ていく
- 輸入消費税は免税事業者でも納めるが、控除できるのは課税事業者だけ(消費税法第30条第1項)。課税価格1万円以下の貨物は一部の品目を除き免除
- 簡易課税・2割特例・3割特例では、実際に払った輸入消費税の額は計算に使わない。原則として還付は生じない
- 控除できるのは輸入申告をした人。代行業者が立て替えていても、名義が代行業者なら自分では控除できない
- 課税価格20万円以下の国際郵便は輸入許可書が発行されず、国際郵便物課税通知書が控除のための書類になる
- 資金繰りは、納期限延長制度・発注ベースの資金繰り表・運転資金の融資の3つで守る
※本記事は2026年10月時点の情報です。個別の税務判断はご相談ください。
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