個人事業主に税務調査は来る?対象になりやすい人と対応を税理士が解説

はじめに
こんにちは、税理士法人淀川パートナーズの堀です。
「うちみたいな小さな個人事業でも、税務調査は来るのだろうか」——これは、ご相談のなかで本当によくいただく質問です。
税務調査という言葉には、どうしても「ある日突然、調査官が事務所に踏み込んでくる」というイメージがつきまといます。しかし国税庁が公表している実際のデータを見ると、個人の方が税務署から接触を受けるケースの大半は、そうした「実地調査」ではありません。そして、来る連絡の種類によって、最終的に払う金額が大きく変わります。
この記事では、国税庁が公表している最新の統計と法令・公式FAQをもとに、個人事業主・一人社長の方に向けて、税務調査の実像と、連絡が来たときに何が起きるのかを整理します。読み終えるころには、漠然とした不安が「何を準備しておけばよいか」に変わっているはずです。
個人事業主に税務調査は来るのか|国税庁の最新データ
まず、実際の件数を見てみましょう。国税庁が令和7年12月に公表した「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(対象期間は令和6年7月1日から令和7年6月30日)によると、所得税の調査等の状況は次のとおりです。
| 区分 | 件数 | 1件あたりの追徴税額 |
|---|---|---|
| 実地調査 | 4万7千件 | 241万円 |
| うち特別調査・一般調査 | 3万6千件 | 299万円 |
| うち着眼調査 | 1万件 | 40万円 |
| 簡易な接触 | 68万9千件 | 4万円 |
| 調査等 合計 | 73万6千件 | 19万円 |
※出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表)。同資料の注記により、実地調査の件数は所得税と消費税の実地調査件数です。
多くの人が経験するのは「簡易な接触」のほう
この表で注目していただきたいのは、件数の内訳です。世間で「税務調査」と呼ばれている実地調査は年間4万7千件ですが、「簡易な接触」は68万9千件と、約15倍あります。
簡易な接触とは、国税庁の説明によれば「原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するもの」です。つまり、調査官が事務所にやってくるのではなく、書面や電話で「この点を確認させてください」と連絡が入る形です。
しかもこの簡易な接触は、前事務年度の55万8千件から23.7%も増えています。国税庁は同じ資料のなかで「選定にAIを活用するなど、効率的かつ的確に調査等を行った」と説明しており、追徴税額の総額は1,431億円と過去最高になりました。
金額のインパクトはまったく違う
1件あたりの追徴税額を見ると、実地調査は241万円、簡易な接触は4万円と、60倍もの開きがあります。申告漏れ所得金額でも、実地調査は1件あたり1,240万円、簡易な接触は51万円です。
これは、実地調査がもともと「高額・悪質な不正計算が見込まれる事案」を選んで行われるものだからです(国税庁の説明による)。逆にいえば、多くの個人事業主の方にとって現実的に起こりうるのは、金額規模のずっと小さい簡易な接触のほうだ、ということになります。
「税務署から連絡が来た」=税務調査とは限らない
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいポイントです。
税務署から電話がかかってきて「申告書の内容を確認したい」「必要なら修正申告書を出してください」と言われると、税務調査が始まったのだろうかと不安になる場面です。しかし税務署からの連絡には「調査」と「行政指導」の2種類があり、どちらに当たるかで支払う金額が変わります。
調査と行政指導の違い
国税庁の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」には、次のように書かれています。
調査とは、特定の納税者の税額等を認定する目的で質問検査等を行い、申告内容を確認するものです。一方、税務当局はそれとは別に、行政指導の一環として、提出された申告書に計算誤り・転記誤り・記載漏れ・法令の適用誤りなどがあると思われる場合に、納税者に自発的な見直しを要請し、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請することがあります。
そして重要なのが、この行政指導に基づいて自主的に修正申告書を提出した場合の扱いです。同FAQには「延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません」と明記されています(当初の申告が期限後申告だった場合は、無申告加算税が原則5%かかります)。
どちらなのかは、聞けば必ずわかる
では自分に来た連絡がどちらなのか、どう判断すればよいのでしょうか。これも同FAQに答えがあります。
税務署の担当者は、調査または行政指導を行う際に、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者に明示することとされています。
ですから、税務署から連絡が来て不安になったときにまずすべきことは、慌てて資料をかき集めることではなく、「これは調査ですか、行政指導ですか」と確認することです。同じ「修正申告してください」という話でも、行政指導であれば過少申告加算税はかかりません。この差を知らないまま対応してしまうのは、非常にもったいないことです。
税務調査は突然来ない|事前通知で伝えられること
実地の調査が行われる場合、原則として事前に通知があります。これは運用上の慣行ではなく、平成23年12月の国税通則法改正で法令上明確化されたルールです。
事前通知で伝えられる内容
実地の調査を行う場合、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて、電話等により次の事項が通知されます。
- 実地の調査を行う旨
- 調査を開始する日時・場所
- 調査の対象となる税目・課税期間
- 調査の目的
実務上あわせて押さえておきたい点が3つあります。
- 通知は原則として電話で口頭で行われます。通知方法は法令上定められておらず、こちらから要望しても事前通知の内容を記載した書面を交付してもらうことはできません
- 「何日前に通知する」という決まりはありません。法令に規定はなく、準備ができるよう相当の時間的余裕を置いて行うこととされています
- 「なぜうちに調査が来るのか」という理由は説明されません。調査の目的(申告書の記載内容を確認するため、など)は通知事項ですが、実地の調査を行う理由は法令上の通知事項ではないためです
最後の点については、担当者の裁量ではなく制度上そうなっている、とご理解いただくほかありません。
調査の日時は変更を申し出られる
通知された調査日時は、都合が悪ければ変更を申し出られます。
事前通知の際には、あらかじめ納税者や税務代理人の都合を尋ねることとされており、その時点で都合の悪い日がわかっていれば申し出ることができます。申告業務や決算業務の繁閑にも配慮して日程を調整することとされています。
また、通知を受けた後であっても、一時的な入院・親族の葬儀・業務上やむを得ない事情などが生じた場合は、申し出れば変更を協議してもらえます。例示された事情以外でも、理由が合理的と考えられれば協議の対象です。変更の申出に決まった書式はなく、口頭で差し支えありません。
事前通知がないケースもある
ただし、事前通知が必ず行われるわけではありません。申告内容・過去の調査結果・事業内容などから、事前に通知すると違法または不当な行為を容易にし、正確な税額等の把握を困難にするおそれがある、あるいは調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断された場合には、事前通知をしないこともあります。
この場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的については、臨場後速やかに説明されることになっています。なお、事前通知をしないこと自体は不服申立ての対象になる処分ではありません。
何年分・何を見られるのか
法律上さかのぼれるのは原則5年
「何年分見られるのですか」というご質問もよくいただきます。法律の面から言えば、税務署が増額更正できる期間は原則として5年です。これも平成23年12月の国税通則法改正によるもので、それ以前は原則3年でした(あわせて、納税者側が減額を求める「更正の請求」の期間も1年から5年に延長されています)。
なお、ある年分の調査であっても、その年分の申告内容を確認するために必要があると判断されれば、それより前の年分の帳簿書類の提示を求められることがあります。たとえば、その年の減価償却費が正しいかを確認するために、資産を取得した年の帳簿を見る、といったケースです。これはあくまでその年分の調査であって、別の年分の調査を行っているわけではないと整理されています。
帳簿・書類の保存期間は「白色でも7年」のものがある
調査で必ず求められるのが帳簿と書類です。保存期間は次のとおりです。白色申告であっても、収入金額や必要経費を記載した「法定帳簿」は7年間の保存が必要です。
| 区分 | 対象 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 白色申告 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
| それ以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 | |
| 棚卸表など決算に関して作成した書類 | 5年 | |
| 請求書・納品書・送り状・領収書など | 5年 | |
| 青色申告 | 帳簿および書類(原則) | 7年 |
| 請求書・見積書・納品書・送り状など | 5年 |
※出典:国税庁タックスアンサーNo.2080・No.2070
帳簿を出せないと、加算税が上乗せされる
保存を軽く見てはいけない理由があります。令和5年分の確定申告に対する修正申告等から、帳簿の提示・提出を求められたのにできなかった場合や、帳簿への売上金額の記載が不十分だった場合には、加算税が加重されることになりました。
- 帳簿の提示等をしなかった場合、または売上金額の記載等が本来の2分の1未満だった場合 … 10%加算
- 売上金額の記載等が本来の3分の2未満だった場合 … 5%加算
つまり、同じ申告漏れでも「帳簿がきちんとある人」と「ない人」で最終的な負担が変わる制度になっています。日々の記帳は、節税のためだけでなく、こうしたリスクを避けるためにも意味があります。
なお、個人事業主の方の申告内容で確認の対象になりやすいのが、自宅兼事務所の家賃や車両費などの家事按分です。按分の考え方は次の記事で詳しく解説しています。

所得税だけでなく、消費税も見られる
ここまで所得税を中心に見てきましたが、個人事業主の実地調査は、所得税と消費税がセットで行われます。この記事の最初に挙げた実地調査4万7千件という数字も、国税庁の注記によれば所得税と消費税の実地調査件数です。
そして消費税のほうは、件数が大きく動いています。
| 区分 | 令和6事務年度 | 前事務年度 |
|---|---|---|
| 調査等 合計 | 18万5千件 | 12万件 |
| うち実地調査 | 2万8千件 | 2万7千件 |
| うち簡易な接触 | 15万7千件 | 9万4千件 |
| 申告漏れ等の非違があった件数 | 10万1千件 | 7万8千件 |
※出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表)。個人事業者の消費税に関する計数です。
国税庁はこの結果について「簡易な接触を活用して幅広く対応した結果、『調査等』の件数が前年から1.5倍に増加」と説明しています。実地調査の件数はほぼ横ばいですが、文書や電話による接触が9万4千件から15万7千件へと大幅に増えた形です。
なお、国税庁は増加の理由までは説明していません。ただ、インボイス制度をきっかけに課税事業者になった個人事業主が増えた時期と重なっていることは、頭に置いておいてよいと思います。
金額の面では、消費税の実地調査による追徴税額は1件あたり127万円です。ただし消費税を無申告だった方への実地調査に限ると1件あたり296万円と約1.9倍になり、こちらも過去最高を更新しています。
消費税は、課税売上高の集計、2割特例・簡易課税・原則課税のどれを選ぶか、仕入税額控除の要件を満たす請求書が揃っているかなど、所得税とは別に判断すべき論点が多い税目です。制度の全体像は次の記事にまとめています。

申告漏れが多い業種ランキングの正しい読み方
国税庁は毎年、「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」を公表しています。令和6事務年度のランキングから、個人事業主・フリーランスの方に関係の深い業種を抜粋したのが次の表です。
| 順位 | 業種 | 1件あたりの申告漏れ所得金額 | 1件あたりの追徴税額 |
|---|---|---|---|
| 4位 | 経営コンサルタント | 2,734万円 | 878万円 |
| 5位 | 太陽光発電 | 2,142万円 | 757万円 |
| 7位 | コンテンツ配信 | 1,936万円 | 462万円 |
| 8位 | ブリーダー | 1,876万円 | 498万円 |
| 10位 | システムエンジニア | 1,631万円 | 287万円 |
※出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」参考計表より、個人事業主・フリーランスに関係の深い業種を抜粋
「狙われる業種ランキング」ではありません
この表は多くの記事で「税務署に狙われやすい業種」として紹介されています。しかし、それは統計の読み方としては正確ではありません。
国税庁の資料には、この表について「上記調査事績は、特別調査及び一般調査に基づく実施結果である」という注記が付いています。前述のとおり、特別調査・一般調査はもともと高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を選んで行われる調査です。
つまりこの表が示しているのは、「この業種だから調査が来る」ということではなく、「申告漏れが見込まれる事案を選んで調査した結果、申告漏れの金額が大きかった業種」ということです。同じ業種で正しく申告している大多数の方まで調査対象になりやすい、という意味ではありません。
とはいえ、これらの業種に共通するのは現金・ネット取引の比率が高い、経費の判断が難しい、収入の計上時期がずれやすいといった特徴です。ご自身の業種が近い場合は、その論点をていねいに処理しておくことに意味があります。
上位に入っている太陽光発電とコンテンツ配信については、それぞれ税務上の注意点をまとめた記事があります。


では、対象になりやすいのはどんな人か
業種ではなく、国税庁が「重点的に取り組んでいる」と明言している領域を見るほうが実態に近づけます。同じ資料には、次の3つが挙げられています。
1つ目は無申告です。国税庁は「無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらす」として、実地調査だけでなく簡易な接触も活用し積極的に調査を実施していると述べています。実際、所得税の無申告者に対する実地調査は1件あたりの追徴税額が524万円で、実地調査全体の299万円の1.8倍にあたり、過去最高となりました。
2つ目はインターネットを介した取引です。ネット通販・ネットオークション、アフィリエイトなどのネット広告、アプリ配信や有料メルマガといったデジタルコンテンツ、民泊・カーシェア・クラウドソーシング・配達代行などのシェアリングビジネス、そして暗号資産(仮想通貨)の取引が対象として名指しされています。暗号資産等の取引を行っている個人への調査は、1件あたりの追徴税額が745万円と、実地調査全体の2.5倍です。
3つ目は消費税の還付申告です。還付申告書には特に厳格な審査が行われ、不正還付が疑われる申告書には調査が実施されます。
※出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表)
つまり「どの業種か」よりも、「申告していない」「取引がデータとして外から把握できる」「還付を受けている」という状態のほうが、選定に効いていると読むのが自然です。逆にいえば、きちんと申告して帳簿を残している限り、業種を理由に身構える必要はありません。
指摘されたらいくら払うことになるのか
申告漏れが見つかった場合、不足していた税金(本税)に加えて加算税と延滞税がかかります。ここで決定的に効いてくるのが、「いつ自分から動いたか」というタイミングです。
過少申告加算税|通知の前なら「かからない」
申告はしていたが税額が少なすぎた場合にかかるのが過少申告加算税です。
| 修正申告のタイミング | 過少申告加算税 |
|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に修正申告 | かかりません |
| 事前通知の後、調査による更正を予知する前 | 5%(一定額を超える部分は10%) |
| 調査を受けた後、または更正処分を受けた | 10%(一定額を超える部分は15%) |
※出典:国税庁タックスアンサーNo.2026。「一定額」とは、当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を指します
最上段に注目してください。税務署から連絡が来る前に自分で気づいて修正申告をすれば、過少申告加算税はかからないのです。これが、誤りに気づいたらできるだけ早く動いたほうがよい最大の理由です。
無申告加算税|そもそも申告していなかった場合
確定申告そのものをしていなかった場合は、無申告加算税がかかります。令和5年分以降は次のとおりです。
| 期限後申告のタイミング | 無申告加算税 |
|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に期限後申告 | 5% |
| 事前通知の後、調査による決定を予知する前 | 50万円まで10%/50万円超300万円まで15%/300万円超25% |
| 調査を受けた後、または決定処分を受けた | 50万円まで15%/50万円超300万円まで20%/300万円超30% |
※出典:国税庁タックスアンサーNo.2024
さらに、前年・前々年にも無申告加算税や重加算税を課されているような場合には、10%が上乗せされます。
なお、期限後申告であっても、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、税金を全額納付しているなど一定の要件をすべて満たす場合には、無申告加算税はかかりません。申告を忘れていたことに気づいたら、まず期限からどれだけ経っているかを確認してください。
重加算税|意図的に隠した場合
帳簿の改ざんや二重帳簿の作成など、事実を隠したり装ったりしていたと認定された場合には、加算税に代えて重加算税が課されます。
- 過少申告加算税に代えて課される場合 … 35%
- 無申告加算税に代えて課される場合 … 40%
- 5年以内に同じ税目で無申告加算税・重加算税を課されたことがある場合 … それぞれ45%・50%

延滞税|納付が遅れた期間に対する利息
加算税とは別に、納付が遅れた日数に応じて延滞税がかかります。令和8年中の割合は次のとおりです。
- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで … 年2.8%
- 2か月を経過した日以後 … 年9.1%
2か月を過ぎると割合が一気に上がります。修正申告や期限後申告をする場合、申告書を提出した日が納期限になりますので、納税資金の準備とあわせて進めることが大切です。なお、延滞税は本税だけを対象とするもので、加算税に対してはかかりません。

顧問税理士がいる場合と、いない場合で何が変わるか
ここまで見てきた内容を、税理士がいる場合といない場合で並べてみます。
| 場面 | 顧問税理士がいない場合 | 顧問税理士がいる場合 |
|---|---|---|
| 事前通知の届き方 | ご本人に直接電話が入る | 税理士に通知が行く(下記の同意がある場合) |
| 調査か行政指導かの判断 | ご自身で確認する必要がある | 税理士が確認し、対応方針を判断する |
| 日程の調整 | ご自身で申し出る | 税理士の業務の繁閑も考慮して調整される |
| 帳簿・書類の準備 | どこまで求められるか手探りになる | 日常の記帳がそのまま備えになる |
| 調査当日の対応 | ご本人が対応する | 税理士が立ち会い、税務署への説明を担う |
事前通知を税理士に受けてもらうには手続きが必要
1行目について補足します。税理士に依頼していれば自動的に通知が税理士に行く、というわけではありません。
事前通知は、納税者本人の事前の同意がある場合には、税務代理権限証書を提出している税理士に対して行えば足りるとされています。このためには、税理士が税務署に提出する「税務代理権限証書」に、納税者の同意を記載しておく必要があります。この記載がない場合は、ご本人と税理士の双方に通知が行われます。
細かい話に思えるかもしれませんが、「ある日突然、自分の携帯に税務署から電話がかかってくる」という状況を避けられるかどうかの差になります。顧問税理士がいらっしゃる方は、一度この同意欄がどうなっているか確認されることをおすすめします。
いちばん効くのは「連絡が来る前」に動くこと
この記事で繰り返しお伝えしてきたとおり、過少申告加算税は、事前通知の前に自主的に修正申告をすればかかりません。通知の後になると5%、調査を受けた後では10%です。無申告の場合も、事前通知の前なら5%で済みます。
これは裏を返せば、「気になっていることがあるなら、税務署から連絡が来る前に相談したほうが、金銭的にも精神的にも負担が軽い」ということです。過去の申告に自信がない、経費の判断が正しかったか不安、そもそも申告していない年がある——そうしたご相談は、私たちにとって珍しいものではありません。
なお、当事務所では税務顧問契約のなかで税務調査の立会いに対応しています。ご相談の内容によって取りうる選択肢は変わりますので、まずは状況をお聞かせいただければと思います。
まとめ
- 令和6事務年度の実地調査は4万7千件に対し、文書・電話・来署依頼による「簡易な接触」は68万9千件。多くの方が経験するのは後者で、前年から23.7%増えている
- 1件あたりの追徴税額は、実地調査が241万円、簡易な接触が4万円と大きく異なる
- 税務署からの連絡には「調査」と「行政指導」があり、手続に入る前にどちらかが明示される。行政指導に基づく自主的な修正申告なら過少申告加算税はかからない
- 実地の調査には原則として事前通知があり、日時の変更は口頭で申し出られる。ただし調査を行う理由は説明されない
- 法律上さかのぼれるのは原則5年。帳簿は白色でも法定帳簿は7年保存が必要で、提示できないと加算税が最大10%上乗せされる
- 申告漏れ所得金額の業種ランキングは「狙われる業種」ではなく、高額・悪質が見込まれる事案を選んで調査した結果を示したもの
- 業種よりも、国税庁が重点対象として明言している「無申告」「ネット取引」「消費税の還付申告」のほうが選定に効いていると読める。無申告者への調査は1件あたり追徴524万円で全体の1.8倍
- 個人事業主の調査は所得税と消費税がセット。消費税の調査等は前年から1.5倍に増加しており、簡易な接触が9万4千件から15万7千件へ大きく伸びている
- 事前通知の前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかからない。気になることがあるなら、連絡が来る前に動くのがもっとも負担が軽い
※本記事は2026年8月時点の情報です。個別の税務判断はご相談ください。
【申告・税務でお困りの方へ】
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