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創業融資とは?日本政策金融公庫と制度融資の違い・金利・保証人・手続きを税理士が解説

この記事を書いた人小西 椋磨(税理士 / 公認会計士)

創業融資とは?日本政策金融公庫と制度融資の違い・金利・保証人・手続きを税理士が解説

「創業融資はどこに申し込めばいいのか」「公庫と銀行、どちらが先なのか」。開業準備を始めた方から、最初にいただくことの多いご質問です。

この記事では、創業融資の基本から、日本政策金融公庫(以下、公庫)と自治体の制度融資の違い、金利・保証人・自己資金の考え方、審査の前に準備すること、申込みから入金までの流れと費用までを、公式情報をもとに順番に解説します。創業融資の支援と、その後の記帳・申告を担当している税理士・公認会計士が書いています。

読み終えるころには、自分がどこに、いつ、何を準備して申し込めばよいかの見通しが立つはずです。

創業融資は公庫と自治体の制度融資の2つが中心

創業融資とは、これから事業を始める方や開業して間もない方が、事業の資金として借りるお金のことで、借入先は公庫と自治体の制度融資の2つが中心です。

「創業融資」という名前の商品があるわけではなく、創業時の融資をまとめてそう呼んでいます。創業前や開業直後は、決算書という実績がありません。そのため、創業時の借入れは次の2つの方法が代表的です。

  • 国が全額出資する政策金融機関である公庫から、直接借りる方法です。
  • 都道府県や市区町村の「制度融資」を使い、信用保証協会(金融機関からの借入れに保証を付ける公的機関)の保証付きで、銀行や信用金庫から借りる方法です。

公庫の創業向けの制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」です。制度融資は自治体ごとに名前と条件が異なり、大阪府では「開業・スタートアップ応援資金」という制度があります。

公庫と制度融資は条件の違いで選ぶ

金利と保証料の負担だけなら制度融資のほうが軽くなることもあり、公庫は自己資金や据置期間などの条件で使いやすいのが強みです。

大阪府の「開業・スタートアップ応援資金(開業資金)」を例に、公庫と比べます。制度融資の条件は自治体ごとに異なるため、あくまで一例です。主に、開業前や税務申告を2期終えていない方を想定した比較です。

比較項目日本政策金融公庫大阪府の制度融資(開業資金)
制度の対象となる時期開業前から開業後おおむね7年以内開業前から開業後5年未満
融資限度額7,200万円3,500万円
金利基準利率で年3.85〜5.45%(特別利率や創業時の引下げ特例の対象なら、ここから下がる)年1.9%(女性・35歳未満・55歳以上・UIJターンの方は年1.7%)
信用保証料かからない年1.0%(金利とは別に負担)
返済期間(上限)設備20年以内・運転原則10年以内(据置5年以内)10年以内(据置12か月以内)
保証人創業期は原則不要個人は原則不要、法人は代表者の保証が必要な場合あり
自己資金制度上の金額要件はない開業前または開業後2か月未満は、創業資金総額の10分の1以上
審査公庫のみ金融機関と信用保証協会の両方

公庫の金利は、税務申告を2期終えていない方が無担保で借りる場合の利率表によります(日本政策金融公庫「融資制度の利率」令和8年10月1日現在)。実際の利率は、使いみち・返済期間・特別利率や特例の有無で決まります。大阪府の数字は「開業・スタートアップ応援資金のご案内」(2026年10月版)によります。

表のとおり、金利と保証料を合わせた負担は、大阪府の制度融資のほうが軽くなる場合があります。自己資金が要件を満たしていて、据置期間が1年以内で足りるなら、制度融資は有力な選択肢です。

一方、公庫は自己資金の金額要件がなく、据置期間(元金の返済を待ってもらえる期間)を最長5年まで設定できます。審査も公庫1か所で、オンライン面談にも対応しています。自己資金が少なめの方や、開業後しばらく元金の返済を待ちたい方は、公庫のほうが条件に合いやすくなります。

どちらか一方に決める必要はありません。大阪府の「地域支援ネットワーク型」には、開業後1年以内に公庫の融資を受けて利用中の方であれば、開業後5年未満まで利用できる取扱いがあります。まず公庫で借り、事業が伸びてきた段階で制度融資を組み合わせる順番もあります。必要額が大きい場合は、最初から両方の利用を検討することもあります。

公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」の中身

公庫の創業向け制度は、開業前から開業後おおむね7年以内の方が対象で、設備資金と運転資金の両方に使えます。

対象は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方です。適正な事業計画を立て、それを進める能力が十分あると認められることが条件で、その内容は創業計画書(事業内容や資金計画を書く公庫所定の書類)などで確認されます(日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」)。

使いみちは、設備資金(内装や機械など、事業に使う設備のお金)と運転資金(仕入れや家賃、人件費など、日々の事業を回すお金)です。

項目内容
融資限度額7,200万円
設備資金の返済期間20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金の返済期間原則10年以内(うち据置期間5年以内)

融資限度額の7,200万円は制度上の上限で、その金額まで借りられるという意味ではありません。実際の金額は、何にいくら使うのかと、返済できる見通しから決まります。

2024年3月には旧「新創業融資制度」が廃止され、この制度に引き継がれました。旧制度にあった「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」という要件は、現行の公式案内には書かれていません。

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金利・保証人・自己資金の考え方

創業融資の条件で押さえておくのは、金利・保証人・自己資金の3つです。

金利は固定なので借りた後に上がらない

利率は原則として「基準利率」ですが、女性、35歳未満、55歳以上の方などは、より低い「特別利率」の対象になります。

これとは別に、「創業支援貸付利率特例制度」があります。新たに事業を始める方や、事業開始後の税務申告を2期終えていない方は、各融資制度の利率から0.65%引き下げられます。雇用を増やす場合の引下げ幅は0.9%です。一部、対象にならない融資制度もあります。使いみち・返済期間・特例の有無で実際の利率は変わるため、申込み前に窓口で確認します。

金利の上昇が気になる方もいらっしゃいますが、公庫の利率表には、借入金利は固定であることが書かれています。借りた後に世の中の金利が上がっても、その借入れの返済額は変わりません。大阪府の開業資金も固定金利です。影響を受けるのは、これから申し込む方が借りる時点の利率です。

据置期間を設けた場合も、その間の利息は支払います。返済に充てられるのは売上そのものではなく、仕入れや経費、税金を払った後に残るお金です。元金の返済が始まる時期に、そのお金で返済をまかなえるかを、月ごとの資金繰りの計画で確認しておきます。

保証人と担保は創業期なら原則不要

担保は返済できなくなったときに備えて差し入れる財産、保証人は借りた本人や会社に代わって返済を約束する人です。公庫のQ&Aでは、創業期の方(新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方)は、原則として無担保・無保証人で利用できると案内されています。保証人がいなくても、借りた本人(会社の場合は会社)の返済義務がなくなるわけではありません。

会社として借りる場合は、社長個人が会社の借入れを保証する「経営者保証」が論点になります。公庫には、これを外す「経営者保証免除特例制度」があります。新たに事業を始める方や税務申告を2期終えていない方も、法人と社長個人のお金がはっきり分かれていること(会社から社長への貸付金がないなど)が確認できれば、対象になりえます。この特例を使っても、金利の上乗せはありません(日本政策金融公庫「経営者保証免除特例制度」)。

ここで見られるのは、帳簿の書き方ではなく、実際のお金の動きです。会社の支払いは会社の口座から行い、社長個人との間のお金のやり取りは理由と金額がわかる形で帳簿に残しておきます。会社から社長への貸付けなどがある場合は、特例への影響を個別に確認します。

大阪府の制度融資では、保証人なしの取扱いを選ぶと信用保証料に0.2%が上乗せされます。法人がこの取扱いを選んだ場合は、原則として設立3年目と5年目に、ガバナンス体制(会社の管理・運営の仕組み)のチェックを受けることになります。

自己資金は要件がなくても審査で見られる

自己資金(借入れではなく自分で用意したお金)は、公庫では制度上の金額要件がなくなりました。ただし、公庫のQ&Aでは、自己資金は重要な要素のひとつだが、それ以上に創業計画全体がしっかりしているかが重要と案内されています。公庫の調査では、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で22.9%です(日本政策金融公庫「創業の手引」2025年度新規開業実態調査)。これは融資を受けた方の平均で、審査を通るための基準ではありません。自己資金の額だけでなく、経験や資金の使いみち、収支の見通しとあわせて判断されます。

大阪府の制度融資(開業資金)では、公庫とは違い、自己資金は原則として申込みの6か月以上前から貯めていたことを書類で確認できるものに限られます。開業直前にまとまったお金を入金しただけでは、自己資金として扱われない可能性があります。

審査で見られることと申込み前に準備すること

審査では創業計画書の中身と、それを裏付ける通帳や見積書が見られるため、申込みの数か月前から準備を始めることをおすすめします。

創業計画書に書く内容

公庫の創業計画書は、主に次の項目で構成されています。公庫が公開している書き方の解説も、この項目ごとに分かれています(日本政策金融公庫「創業計画書の書き方」)。

  • 創業の動機と、経営者のこれまでの経歴を書きます。
  • 取り扱う商品やサービス、取引先との関係を書きます。
  • 何にいくら使い、どう調達するかの資金計画を書きます。
  • 売上と経費の見込みを示す収支計画を書きます。

なかでも、売上の見込みをなぜその数字にしたのかを説明できるかが大切です。当事務所が支援した面談でも、これまでの経歴と事業のつながりや、見積書と資金計画の金額の対応を聞かれることが多くあります。

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通帳と個人の信用情報

面談では、事業計画の資料に加え、資産や負債がわかる書類を用意します(日本政策金融公庫「お申込からご融資までの流れ」)。自己資金の確認には通帳を使うため、どのように貯めてきたかがそのまま見えます。

また、公庫の借入申込書には、個人信用情報機関(クレジットカードやローンの利用・返済の記録を管理する機関)の情報を、返済能力の判断に使うことへの同意欄があります。カードやローンの支払いに遅れがないかは、申込みの前に確認しておきます。

申込み前にやっておくこと

  • 設備の見積書を取り、資金計画の金額と合わせます。
  • 物件は候補を選んだ段階で、契約する前に融資の相談を始めます。
  • 許認可が必要な事業は、取得の時期と申込みとの順番を確認します。
  • 個人なら開業届と青色申告承認申請書(青色申告をするために税務署へ出す届出)、法人なら設立後の届出の時期を確認します。

当事務所へのご相談で多いのが、手持ちのお金で内装や設備を先に支払ってから、融資を申し込もうとするケースです。支払った後では、その費用が融資の対象になるか、融資が入るまでの運転資金が残るかが問題になります。契約や支払いの前に相談し、すでに支払った場合は領収書と通帳の記録を残しておきます。また、開業後にご相談に来られた方で、青色申告承認申請書を出し忘れ、初年度に青色申告の特別控除を受けられなかったケースもありました。融資の準備と税務の届出は、同じ時期にまとめて確認するのが安全です。

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公庫の申込みから入金までの流れとスケジュール

公庫が案内している平均3週間は融資決定までの日数なので、契約・入金と準備期間を含めて、開業予定日から逆算して動き始めることをおすすめします。

公庫の手続きは、次の順番で進みます。

  1. 電話や窓口、オンラインで事前に相談します。
  2. インターネットで申し込みます(24時間受付)。
  3. 担当者と面談し、資金の使いみちと事業計画を説明します。
  4. 審査を経て融資が決定します。
  5. 電子契約の手続きをします。
  6. 指定した口座に融資金が送金されます。
  7. 原則として毎月返済します。

申込みのときには、創業計画書、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を用意します。設備資金なら見積書、法人なら履歴事項全部証明書(会社の登記の内容を証明する書類)、許認可が必要な事業なら許認可証も必要です。面談では、店舗の予定地を見に来られる場合もあります。

公庫のQ&Aでは、申込みから融資決定まで平均3週間程度とされ、条件によってはさらに時間がかかります。ここに申込み前の準備と、決定後の契約・入金が加わります。当事務所では、物件の契約や開業予定日の2〜3か月前には準備を始める日程をおすすめしております。これは目安で、追加の資料を求められたり、希望額より減額されたりすることもあります。融資が入る前の支払いを何でまかなうかも、あわせて考えておきます。

大阪府の制度融資の場合は、取扱金融機関や大阪信用保証協会などが申込みの窓口になり、金融機関と信用保証協会の両方の審査を経て融資が実行されます。

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自分で申し込むか税理士に手伝ってもらうか

公庫は自分で申し込むこともできるため、専門家に依頼するかどうかは、計画の数字に自信があるか、開業後の記帳・申告まで任せたいかで判断することをおすすめします。

公庫には無料の相談窓口があり、ご自身で申し込んで融資を受ける方もいらっしゃいます。売上の見込みを根拠とあわせて説明でき、資金の使いみちも見積書で示せるなら、ご自身で進める方法も十分に考えられます。

一方で、次のような場合は専門家に手伝ってもらう意味があります。

  • 売上の見込みは書けたものの、なぜその数字になるのかを説明できない場合です。
  • 設備資金と運転資金をいくらずつ借りればよいか判断できない場合です。
  • 開業後の記帳や確定申告まで、まとめて任せたいと考えている場合です。

費用の目安と当事務所の料金

創業融資の支援料金は事務所によって異なります。各社の公開料金を見ると、着手金0〜5万円、成功報酬は融資額の2〜5%程度のものが多く見られます。統計ではなく、公開されている料金を集めた目安です。

当事務所では、事業計画書の作成から面談の準備までをご支援しております。これまでの支援実績は、累計調達額1.3億円、融資決定率83.3%です(2026年9月時点、当法人の支援案件の実績)。

料金は次のとおりです(税込。融資希望額200万円以上の案件から承っております)。

融資実行額融資支援のみ(5.5%)税務顧問とあわせてのご依頼(3.3%)
500万円27.5万円16.5万円
1,000万円55万円33万円

着手金11万円をいただき、成功報酬は「融資額×料率−着手金」で計算いたしますので、合計が融資額の5.5%(顧問とあわせてのご依頼は3.3%)になります。融資が実行されなかった場合にいただくのは着手金のみです。初回のヒアリングで見込みが難しいと判断した場合は、その時点でお伝えし、着手金もいただきません。支援の流れと実績の詳細は、創業融資支援のご案内にまとめております。

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借りた後の返済と2回目の融資まで見据えて考える

創業融資は入金されたところがスタートで、返済を続けながら計画と実績のずれを確認し、次の資金調達に備えることが大切です。

融資が入金されると、据置期間が終わった月から元金の返済が始まります。公庫の調査では、開業から黒字化までにかかった期間は平均6.4か月です(日本政策金融公庫「創業の手引」2025年版新規開業白書)。あくまで平均なので、売上が計画を下回った場合の資金繰りも、あらかじめ試算しておくと安心です。黒字になっても、元金の返済は経費にならないため、手元のお金が足りなくなることがあります。

事業が伸びて2回目の融資を申し込むときは、創業時の計画に加えて、決算書(1年間の利益と財産の状況をまとめた書類)や試算表(月ごとの帳簿の集計表)が審査の材料になります。融資の判断は業績や返済の状況で決まりますが、正確な帳簿があれば、計画と実績の違いを数字で説明できます。物販のように、売上が伸びるほど仕入れのお金が先に出ていく事業では、2回目の融資の時期も早めに来ます。

融資の中身を知っている税理士が、そのまま記帳・申告まで見ていれば、計画と実績を同じ流れで振り返ることができます。当事務所では、融資のご支援だけのご依頼も承っておりますが、ご希望の方には、融資を担当した税理士がそのまま記帳・確定申告まで担当いたします。

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※本記事は2026年10月時点の情報です。

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Written by

小西 椋磨

税理士 / 公認会計士

小西 椋磨Konishi Ryoma

「数字で経営の現状を可視化し、判断材料を増やす」ことが私の役割です。創業期の融資から日々の税務まで、実務の現場を止めない体制を整えます。

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