収入と所得は何が違う?年収別・所得金額の早見表を税理士が解説

はじめに
こんにちは、税理士法人淀川パートナーズの堀です。
年末調整の書類や各種の申請書に「所得金額」を書く欄があり、「年収を書けばいいの? それとも手取り?」と手が止まってしまった——そんな経験はないでしょうか。
「収入」と「所得」は日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、税金の世界ではまったく別のものです。ここを取り違えると、扶養の判定を間違えたり、受けられるはずの控除を逃したりすることがあります。
この記事では、収入と所得の違いを整理したうえで、年収別に所得金額がいくらになるかを早見表でお示しします。2026年(令和8年)時点の最新の控除額に対応していますので、ご自身の数字を確認しながらお読みください。
収入と所得は何が違う?——まず結論
結論からお伝えします。
「収入」は入ってきた金額そのもの、「所得」は収入から必要な控除を差し引いた後の金額です。
| 用語 | 意味 | 会社員の場合 |
|---|---|---|
| 収入 | 受け取った金額そのもの(額面) | 源泉徴収票の「支払金額」=いわゆる年収 |
| 所得 | 収入から必要経費などを差し引いた金額 | 収入 − 給与所得控除 |
個人事業主であれば「売上(収入)から経費を引いたもの」が所得です。会社員やパートの方には経費という概念がないため、代わりに「給与所得控除」という一律の控除が用意されていると考えるとわかりやすいと思います。
計算式にすると次のとおりです。
- 会社員・パート:所得金額 = 収入(年収) − 給与所得控除
- 個人事業主・フリーランス:所得金額 = 売上 − 必要経費
申請書に「所得金額」と書かれていたら、年収そのものではなく、この計算をした後の金額を記入することになります。
年収別・所得金額の早見表【2026年最新】
会社員・パートの方が最も知りたいのは「自分の年収だと所得金額はいくらか」だと思います。令和7年の改正後の給与所得控除で計算した早見表がこちらです。
| 年収(収入) | 給与所得控除 | 所得金額 |
|---|---|---|
| 100万円 | 65万円 | 35万円 |
| 110万円 | 65万円 | 45万円 |
| 120万円 | 65万円 | 55万円 |
| 130万円 | 65万円 | 65万円 |
| 150万円 | 65万円 | 85万円 |
| 160万円 | 65万円 | 95万円 |
| 180万円 | 65万円 | 115万円 |
| 190万円 | 65万円 | 125万円 |
| 200万円 | 68万円 | 132万円 |
| 250万円 | 83万円 | 167万円 |
| 300万円 | 98万円 | 202万円 |
| 400万円 | 124万円 | 276万円 |
| 500万円 | 144万円 | 356万円 |
| 600万円 | 164万円 | 436万円 |
| 700万円 | 180万円 | 520万円 |
| 850万円 | 195万円 | 655万円 |
| 1,000万円 | 195万円 | 805万円 |
たとえば年収300万円の方の所得金額は202万円です。「所得はいくらですか」と聞かれたら、300万円ではなく202万円と答えることになります。
パートの方で税額や手取りまで知りたい場合は、年収別にまとめた早見表がありますのであわせてご覧ください。

給与所得控除とは?令和7年分から最低65万円に
給与所得控除は、会社員やパートの方にとっての「みなし経費」にあたるものです。スーツ代や通勤にかかる費用などを個別に計算する代わりに、年収に応じて一律に差し引きます。
給与所得控除の速算表(令和7年分以後)
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 190万円まで | 65万円 |
| 190万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
年収190万円以下は一律65万円になりました
ここが令和7年の改正で大きく変わった点です。改正前は「年収162.5万円まで55万円」でしたが、改正後は「年収190万円まで65万円」に拡大しました。
控除額が10万円増え、対象となる年収の範囲も広がっています。パートやアルバイトで働く方への影響が特に大きい改正です。「給与所得控除は55万円」と書かれた解説を見かけたら、それは改正前の情報とお考えください。
「課税所得」も「手取り」も所得金額とは違う|4つの用語を整理
混乱の原因になりやすいのが、似た言葉が4つあることです。ここで整理しておきましょう。
| 用語 | 計算 | 年収300万円の例 |
|---|---|---|
| 収入(年収) | 額面の金額 | 300万円 |
| 所得金額 | 収入 − 給与所得控除 | 202万円 |
| 課税所得 | 所得金額 − 所得控除(基礎控除・社会保険料控除など) | 人により異なる |
| 手取り | 収入 − 税金 − 社会保険料 | 人により異なる |
押さえておきたいのは次の2点です。
- 「所得金額」と「課税所得」は別物です。所得金額からさらに基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除などを引いたものが課税所得で、税額はこの課税所得に税率をかけて計算します。
- 「手取り」は税金の計算には登場しません。実際に口座に振り込まれる金額のことで、税務上の用語ではありません。申請書に「所得」と書かれていて手取り額を記入してしまう間違いが少なくありませんので、ご注意ください。
給与以外の所得金額の出し方
所得は給与だけではありません。代表的なものを見ておきましょう。
個人事業主・フリーランス(事業所得)
事業所得の場合は「売上 − 必要経費」が所得金額です。会社員と違って一律の控除はなく、実際にかかった経費を積み上げて計算します。
さらに青色申告をしている方は、ここから青色申告特別控除(最大65万円)を差し引いた金額が所得金額になります。売上が同じでも、経費の計上漏れや青色申告特別控除の適用有無で所得金額は大きく変わります。
副業・単発の仕事(雑所得)
会社員の方が副業で得た収入の多くは雑所得にあたります。こちらも「収入 − 必要経費」が所得金額です。
年金(雑所得)
公的年金も雑所得ですが、給与と同じように「公的年金等控除」を差し引いて所得金額を計算します。年齢と年金額によって控除額が決まります。
なお、給与と年金の両方を受け取っている場合や、給与と副業がある場合は、それぞれの所得金額を合計したものが「合計所得金額」となります。扶養の判定などで使われるのは、この合計所得金額です。
所得金額はどこで使う?知らないと損をする場面
所得金額は、税金の計算以外にもさまざまな判定に使われます。「年収」ではなく「所得金額」で判定される点が重要です。
| 場面 | 判定の基準 |
|---|---|
| 扶養控除に入れるか | 合計所得金額58万円以下(給与収入なら123万円以下) |
| 配偶者控除 | 配偶者の合計所得金額58万円以下 |
| 配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得金額58万円超133万円以下 |
| 基礎控除の金額 | 本人の合計所得金額に応じて変動 |
| 各種の給付金・助成金 | 所得金額による制限があるものが多い |
よくある取り違えが「扶養に入れるのは年収103万円まで」という理解です。改正後の正しい基準は合計所得金額58万円以下、給与収入でいえば123万円以下です。古い情報のまま働き方を調整してしまうと、働ける範囲を自分で狭めることになりかねません。
なお、社会保険の扶養(130万円の壁)は「収入」で判定され、税金とは基準が異なります。年収の壁の全体像については、こちらで詳しく解説しています。

【2026年最新】基礎控除は58万円〜95万円に
所得金額が出たら、そこから所得控除を引いて課税所得を求めます。誰もが受けられる代表的な控除が基礎控除です。
令和7年の改正で基礎控除は大きく変わり、従来の一律48万円から、合計所得金額に応じて58万円〜95万円になりました。
基礎控除額の一覧(令和7年分・令和8年分)
| 合計所得金額 | 令和7年分・令和8年分 | 令和9年分以後 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 95万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 | 58万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 | 58万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万円 | 58万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 |
中間層の上乗せは令和8年分までの期間限定です
見落としやすいのがここです。表の右列のとおり、合計所得金額132万円超655万円以下の方への上乗せ(88万円・68万円・63万円)は、令和7年分と令和8年分だけの措置です。令和9年分からは58万円に戻ります。
一方、合計所得金額132万円以下の方の95万円は令和9年分以後も続きます。合計所得132万円は給与収入でいうと200万円です。年収200万円以下の方は、この控除額が今後も維持されると考えてよいことになります。
年収160万円までは所得税がかからない理由
よく聞く「160万円の壁」は、この2つの控除を足すと理解できます。
- 年収160万円 − 給与所得控除65万円 = 所得金額95万円
- 所得金額95万円 − 基礎控除95万円 = 課税所得0円
課税所得が0円になるため、年収160万円までは所得税がかかりません。以前「103万円の壁」と呼ばれていたものが160万円に動いたのは、給与所得控除と基礎控除がそれぞれ引き上げられたためです。
実際の税額の計算方法や税率については、こちらの記事で解説しています。

源泉徴収票で自分の所得金額を確認する方法
計算しなくても、会社員の方であれば源泉徴収票を見れば所得金額がわかります。
| 源泉徴収票の欄 | 意味 |
|---|---|
| 支払金額 | 収入(年収) |
| 給与所得控除後の金額 | 所得金額 |
| 所得控除の額の合計額 | 基礎控除・社会保険料控除などの合計 |
| 源泉徴収税額 | その年に納めた所得税 |
申請書に「所得金額」を書く欄があれば、「給与所得控除後の金額」をそのまま転記すれば正解です。「支払金額」を書いてしまう間違いが非常に多いので、提出前に一度ご確認ください。
なお、勤務先が複数ある場合や副業がある場合は、それぞれの所得金額を合計する必要があります。1枚の源泉徴収票だけでは判断できませんのでご注意ください。
まとめ
- 収入は額面の金額、所得は収入から控除を引いた後の金額。まったく別のものです
- 会社員・パートは「年収 − 給与所得控除」、個人事業主は「売上 − 必要経費」が所得金額
- 令和7年分から給与所得控除の最低額は65万円になり、年収190万円まで適用される(改正前は162.5万円まで55万円)
- 年収300万円なら所得金額は202万円。年収と所得金額は一致しません
- 「所得金額」「課税所得」「手取り」は別物。申請書に手取り額を書かないよう注意
- 基礎控除は58万円〜95万円。ただし132万円超655万円以下への上乗せは令和8年分までの期間限定で、令和9年分からは58万円に戻る
- 年収160万円までは課税所得が0円になるため所得税はかからない
- 扶養の判定は合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)。「103万円まで」は改正前の基準
- 会社員は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得金額
※本記事は2026年8月時点の情報です。個別の税務判断はご相談ください。
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